大津市の市民センター統廃合問題で、越直美市長が2月1日に「実施案」を公表するまでの経緯が、情報公開請求して入手した議事録などから明らかになった。庁内での議論がおざなりなのに対し、大津市自治連合会に対しては、2月1日に市役所内で3度も説明の場を設けていた。

庁内の検討委員会は、市民との意見交換会が終わった直後の11月22日と、1月24日の2回だけ。その間に大手コンサルタント会社に、急場しのぎの業務量調査を行い、越市長が強調する“より良い案”が作成されていた。市民センターの現場を預かる各支所長や、各部長に対する説明は、“より良い案”が公表された、2月1日当日になってからだった。部長会の議事録に残されたやりとりから、井村久行副市長や総務部長が、「実施案」の詳細を知らず、“蚊帳の外”に置かれていたことが分かる。

組織内ではほとんど議論されず、コンサルのデータを用いて、結論ありきの“より良い案”ができあがっていった過程がうかがえる。

「素案」から「実施案」公表までの経緯

2017年11月に大津市は「素案」を公表した。その素案を基に、昨年10月と11月に36学区で市民意見交換会が行われた。意見交換会では、批判的な意見が7割を超え、大津市は、参加した市民らに「素案を修正する」と約束した。その後、今年2月1日に「実施案」を越直美市長は公表したが、市民の声を真摯に受け止めて修正したとは言えない内容だった。2024年まで、支所機能を残すとしながら、25支所では、窓口時間を9時から15時まで短縮し、公共料金の取り扱いを止め、各種証明書の手続きができなくなるなど、支所業務を大幅に縮小をしている。「2024年まで残す」という部分だけをアピールした、ごまかしの修正案で、実際は、2025年以降の統廃合を最終目的とした伏線に過ぎない。

■庁内検討委員会:2回だけ(11月22日と1月24日)

大津市の市民センター統廃合問題をめぐり、36学区で行われた意見交換会の後、東京のコンサルタント会社に530万円で支所の業務量調査を委託した。一方、各部局の実務者レベルの政策監や課長らが出席した庁内の検討委員会は、今年2月1日の実施案公表までの期間、2回しか行われていなかったことが、情報公開請求でわかった。

開催されたのは、昨年11月22日が45分、今年1月24日が50分。開示された議事録で、やりとりの部分は、それぞれ約1ページ。25の支所では業務内容を縮小するという説明もあったが、それについての具体的な質問は出ていなかった。

↓2018年11月22日/第3回 市民センター機能等の在り方検討委員会


↓2019年1月24日/第4回市民センター在り方検討委員会

 

「実施案」公表に至る動きの詳細は、次ページで。

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