大津市の越直美市長が11月14日に会見を開き、市長選不出馬を表明したのを受けて、新聞各社は15日付で、「笑顔で会見」(京都新聞)、「『約束達成』晴れやか」(中日新聞)、「全身全霊8年」(読売新聞)、「全力で公約達成」(朝日新聞)、「全身全霊尽くした」(毎日新聞)と、実績を絶賛した。しかし、実際に公約が達成された根拠を示さず、越市長の発言を鵜呑みにしたもの。数々の失政に触れた報道は皆無だった。

越市長は、大津市議会でコミュニティセンター条例案が可決した13日に会見を開かず、翌14日に、報道機関をピアザ淡海に集め、大々的に「次の市長選の不出馬」を表明する会見を開いた。不出馬の理由は「公約を達成した」から。

越市長が1期目選挙前に配布していたマニュフェストの「5つのスマイルプロジェクト」は、①子育てと教育、②介護、③観光、④経済、⑤防災の5項目を挙げた上、行財政改革の目的を、「市民サービスの質と効率の向上」だと書いていた。さらに、行財政改革の一環として、市民への情報発信と情報公開を約束していた。

記者会見で越市長は、①の待機児童解消には触れていたが、②の特別養護老人ホームの待機解消に向けた取り組みは説明していない。

市民センター統廃合問題でみられるように、都合の悪いことを、市民に公開しなかった。京都新聞は、大津市の公文書破棄の問題を、何回も掲載していた。ところが、この会見上で市長に公文書問題を総括させていない。

越市長は、会見で「自分を政治家と思ったことはない。絶対にない」(毎日新聞)と語った。8年間も、政治家だと自覚がない人物が大津市政の政治をしていたことになる。しかし、15日付の新聞各社は総じて、政治家でない越市長を讃えた。

越市長の1期目の公約

↓2019年11月15日の各社報道

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