前代未聞! トップが逃げる／佐藤市長と幹部らも自宅待機へ／4/25〜5/6 職員1,200人／各支所と保健所は勤務続行／ウオッチ大津№181

大津市は市役所内で、新型コロナウイルス感染のクラスターが発生したため、今月25日から5月6日まで、本庁（本館、新館、別館）の職員約1,200人を自宅待機することにした。最前線で業務を続ける職員らを尻目に、対策本部長の佐藤健司市長や市幹部らも、自宅待機に入る。まさに前代未聞の事態と言える。

市民のライフライン維持のために、消防局と企業局の職員は、業務を続けるという。危機・防災対策課は、3〜4人の3交代制で業務を続ける。勤務時間は未定。保健所、全36の支所も、通常業務を続ける。そのため、各支所の業務負担が増加するのは確実だが、1年更新の「会計年度任用職員（旧制度の嘱託、臨時職員）」が多く、混乱が予想される。

本庁舎にいる佐藤市長や幹部職員らによる、初動対策の遅れから、庁舎内の感染が拡大したと言えるが、これまで説明責任が果たされていない。その後始末は、市民と身近に接する現場の職員らが一手に引き受ける形だ。支所の職員らの間からは、「待遇は変わらないのに、業務量だけ増大する。パートに仕事と感染リスクを押し付けた」という不満の声も出ている。

市長室は本館2階にあるが、最寄りの階段は、秘書課以外の職員はほとんど使わない。佐藤市長は、本館西側フロアの感染した職員らの濃厚接触者には該当しないが、自宅待機になった。秘書課への取材によると、何か緊急の連絡が入った時だけ、市長が庁舎内へ顔を出すと言う。何も連絡がないときは、そのまま自宅にいると説明している。

市は、感染拡大防止のために、職員約1,200人を自宅待機にすると表明しながら、4月21日から24日まで、市役所への市民の入館を止めていない。21日午前中に報道各社が、全庁舎閉鎖と職員約1,200人自宅待機について伝えたが、午後3時を過ぎても、市ホームページは情報を掲載しなかった。夕方にようやく、危機・防災対策課でなく、これまで通り、人事課が本庁舎の閉鎖について初めて伝えた。

人事課と危機・防災対策課によると、全庁舎閉鎖と職員約1,200人の自宅待機は、対策本部会議ではなく、20日に庁内協議で決めたという。同じ日、危機・防災対策課は、3月5日の第1回から、4月17日の第4回までの対策本部会議の会議録を、まとめて一気に、市ホームページにアップした。内容は、「次第」と「概要」という簡単な文書だった。これまでのように、会議録を開示していないと、市長と危機・防災対策課に対して「何もしていなかったのか」という批判が起こるのを避けるためだとみられる。

市職員の新型コロナウイルス感染について、11日と13日、そして21日午後の合計3回、佐藤市長が記者会見を開いたが、市民へ市政情報を伝える業務の広報課は、会見の内容を一切、ホームページで伝えていない。「会見録をいつ出すかということは確定していない。約束できない」と説明している。

４月21日夕方に発信した人事課からのお知らせでは、「本庁舎に勤務する職員間の接触を12日間絶ち、この間に健康観察を行うことにより、感染の根絶を図ります。市民の要請に速やかに応じることが市役所の責務でありますが、この状況下において、市職員が出勤し庁舎内にて執務を行うことが、本庁舎内の感染拡大を長期化させ、かえって市民や事業者の皆様にご迷惑をおかけすると判断したものであります」としている。しかし、市民へ素早く適切な情報を伝えず、市民の立ち入りは許している。

本庁では職員が25日から自宅待機に入る前に、24日までは、市民への窓口対応を続けている。約1,200人中、約200人は、自宅から市役所へアクセスできる機器を貸し出され、オンラインで仕事を継続できるが、残り1,000人は、何の仕事もないという。そして、業務命令で自宅待機になっているので、職員の給与は減額されないという。

その一方、本庁が閉鎖される影響で、各支所や保健所では業務量が増大するのは必至だ。
支所や保健所の職員らへの特別手当について、人事課は「そういう話は、今日の会議で出ていなかった」と説明している。また、秘書課は「市長は、自宅待機（25日）の前に、各支所を訪問する予定を検討している」としている。

ウオッチドッグ記者は、愕然として、秘書課の職員に次のように伝えた。