大津市は5月7日、市役所の本館、新館、別館で13日ぶりに業務を再開した。市長の「公務日程」を4月15日から更新していない秘書課と、21日の市長会見の会見録について日付を偽装した疑いがある広報課へ取材すると、訳のわからない対応が続いた。さらに、市ホームページの情報発信ぶりは、わずかな改善がみられたが、体裁だけ取り繕う、ごまかし体質は相変わらずだった。

大型連休明けのこの日は、1日だけで出来事は盛りだくさん。ウオッチドッグ記者の取材日記から。

5月7日:ウオッチドッグ記者の取材日記より
5月7日 午前10時30分:秘書課へ電話📞

久しぶりに大津市役所が再開したので、閉鎖中に「?」のままだった問題を確認するため電話を入れた。

市長の公務日程が、4月22日(15日更新が最終)でストップしたままだったので、「23日と24日の公務日程と、5月の公務日程をなぜ、書いていないのか?」を電話で聞いた。この時点では、依然として、4月22日までの公務日程しか出ていなかった。

最初の電話で、秘書課の職員は、「行事の予定がなかったので」と答えた。「これまで、行事がなくても、『庁内執務』って書いていたじゃないですか? 長い休みの前に、なぜ、更新しなかったのですか? 4月15日で公務日程の更新が止まっていたじゃないですか」。

秘書課の職員は、「少々、お待ちください」と保留して、次に電話に出たときは、「失念してました」と答えた。

最初の電話では、「知っているが、行事がなかったから書いてない」というニュアンスだったが、保留後に再び対応した時は、「失念していた」、つまり「気づかなかった。忘れてました」という対応に変わっていた。そして、「今日中に、更新します」と話していた。

失念。何日間も忘れたままだった…?

↓5月7日午前10時30分/市ホームページ/大津市長の部屋「公務日程」

同じ時刻、大津市ホームページのトップ画面には、久しぶりの業務再開なのに「市長メッセージ」も何もなし。「緊急情報」も「大事なお知らせ」も、前日のままで更新されていない。「長いステイホームが終わっても、出だしは相変わらずだなあ」と呆れた。

↓午前10時30分頃/市ホームページのトップ画面

5月7日 午前10時40分広報課へ電話📞

続いて、広報課に電話。「4月21日の記者会見の記録を、本当に、翌22日に出したのですか?」と質問した。広報課は、「コロナの画面に記者会見として出しました」と話した。「22日に出てませんでしたけど」とウオッチドッグ記者が話すと、「その翌日だったかなあ」とあやふやな回答だった。「機械は嘘をつきません」とも言っていたが、「大津市の職員は嘘をつく」とウオッチドッグ記者は、話半分で聞いていた。

「そして、どうして、4月21日の会見録だけしか出してないのですか? 3月30日、4月11日、13日と、コロナウイルス感染の関係で会見してたじゃないですか?」と聞くと、「一番大事な会見(21日)から出しました」と広報課の職員は答えた。

「意味わかりません。古いほうから、会見録出すでしょう。常識です。それと、どうして、従来の定例記者会見に、この会見を出してないんですか。新型コロナウイルス関連のところに新しく『記者会見』という項目を作ってますけど」と聞くと、「これは、定例記者会見でなく、市長の説明ですから」という広報課の話だった。「『記者会見』って書いているじゃないですか? 市長の説明だから会見とは違う、とは意味不明です」と、吹き出してしまった。

「そして、4月21日の会見録ですけどね。なぜ、質問した記者の社名が出ていないのですか? これまでは社名が出ていました」とウオッチドッグ記者が疑問に思っていたことを尋ねた。

↓4月21日の記者会見録(一部を切り取りました)/質問した記者の社名が書いていない。どこの記者の質問かわからない質問に、佐藤市長が答えている。

↓2019年9月19日の定例記者会見録(一部切り取りました)/質問したのは、京都新聞の記者で、答えていたのは、越直美前市長/記者の社名が書いている。

広報課の職員は、「それは言えません。市政記者クラブとの話でもありますので」と話した。記者クラブからの要請で、社名を出さないようにしたかのような、ぼやかしたニュアンスの説明だった。「また、老獪な広報課のおじさん職員らが、若い記者を騙して、自分らの都合のよい方向にもっていったんちゃうの?」とウオッチドッグ記者は、広報課の職員に言い、電話を終えた。

真相を探るため、4月の市政記者クラブ幹事社である産経新聞の記者を電話でつかまえて聞いた。「そういう話は市からありましたが、(社名を出すか出さないか)こだわりませんということをお話させていただきました」と説明してくれた。

ということは、やはり、佐藤市長の意向を汲んだ広報課が勝手に「社名消し」をやったに違いないと悟った。ウオッチドッグ記者からの質問攻めを逃れるためのに、記者クラブの責任にしたと合点した。

5月7日 午後2時:秘書課へ電話📞

午前中に指摘したので、ホームページに公務日程が出ているかと思いきや、まだ4月22日のまま。「もう5月ですよ。業務は始まってますよね。なぜ、更新しないのですか? 午前中の話でしょう」と伝えた。秘書課の職員は、「本日中には更新します」と話した。「過去の2日分の日程を更新するのに、どうしてそんなに時間がかかるのですか?」と聞くと、「5月分とまとめて作業してますので」という答えだった。「たった2日の過去の情報でしょう。過去の分は、急いで出して、これからの予定は、新たに更新すればよいことでしょう」と話した。

市ホームページのトップ画面を見ると、「5月7日の市長メッセージ」が出ていた。

↓午後2時頃/市ホームページのトップ画面

「うわっ。新しいメッセージを出してる」と覗くと、危機・防災対策課が、佐藤市長の名前で「市長メッセージ」を出していた。内容を読むと、「閉庁中にあっても準備を進めてきたところです」と書いていた。

この言葉には、ウオッチドッグ記者も、ズッコケた。「準備進めてきたら、大型連休明けの5月7日午前中に、公務日程が4月のままだったり、市長メッセージを出してないなんてこと、ないでしょうに」と思った。久しぶりに出勤したら、市民の怒りの声が、役所へたくさん届いているのを知って、焦って、大急ぎで作成したんじゃないのかなと思った。

午後5時30分(閉庁後すぐ):秘書課へ電話📞

市ホームページの「公務日程」は、4月22日のまま。更新されてなかった。「本日中に更新するという話でしたが」と聞くと、「申請中です」という答えだった。「大津市は、訳がわからん」と呆れた。

この時、何気に市ホームページのトップ画面を見たウオッチドッグ記者は、ある異変に気づいた。

「これ、何だ?」

新着情報に「市長記者会見」があった。他に、「7日の新型コロナ感染症対策本部会議資料」も出ていた。会議資料をその日のうちに出す??? 今までの大津市政で、こんな“奇跡”を見たことがなかった。しかし、作成された資料を読むと、「もっと早く発信できたような資料ばかりじゃん。なぜ、今?」と驚いた。過去の資料と比較すると一目瞭然。
↓過去の対策本部会議資料/1回から4回まで、4月20日に一気にまとめて掲載。5回は、開催当日の5月7日に初めて掲載。
https://www.city.otsu.lg.jp/kenko/2020/honnbu/32934.html

そして、「7日午後に行われた記者会見ですが、8日に『会見録』を出します」と広報課が言っていたのに、「記者会見をもう出している。どういうこっちゃ?」と中を覗いた。「ゲゲッ。ユーチューブで市長会見を出している」と驚愕した。「あの大津市が」、「あの広報課が」…。

驚愕のあまり、ウオッチドッグ記者は、すかさず、広報課に「ユーチューブで発信しているけど、やればできるんじゃないの。何でこれまでしなかったの? 開かれた市政の第一歩になればいいですけどねぇ」の電話をした。

しかし、電話を終えた後、よくよく見ると「でも、これって、一方的な市長のしゃべりじゃないのさ」と気づいた。「こんなものを記者会見と呼べるか。これでは、『広報おおつ』と変わらん」と思った。「記者会見」ではなく、事前に用意した原稿の読み上げ。用意されたものだから、会見後に、ホームページに載せるのも容易だっただろう。

初めてYoutube に動画も載せたが、冒頭に佐藤市長が原稿を読み上げているところだけだった。大津市広報課が8日に、記者との質疑応答を含めた、記者会見すべてを収録した映像を発信できるかどうか、注視していきたい。

↓「大事なお知らせ」に、「市長記者会見」が初めて出ていた。しかし、記者の質疑応答が含まれていない「市長の説明会」だった。

ウオッチドッグ記者の5月7日の取材日記は、これにておしまい。未解決の案件が多くまだまだ追及は続く。