大津市の市民センター統廃合問題で、市民が参加する全36学区の意見交換会の前に、越直美市長と市民部長ら計7人が今年6月から8月にかけて、7ブロックに分けて、各自治連合会長や一部役員らと密室で協議していたことが、市民センター改革推進室への取材などで、わかった。市は協議の内容はおろか、協議していたこと自体も市民に公表していない。越市長は10月から11月にかけて、36学区ごとに開かれた意見交換会には一度も出席していない。

市民センター統廃合問題をめぐり、大津市と大津市自治連合会の蜜月ぶりがあらためて明らかになった。表面的には、市民との意見交換会を強行日程で開き、市民から意見を聞いたと見せかけ、水面下では、それに先だって、自治連合会の幹部との協議の場を設け、着々と話を進めていたことになる。自治連合会側も、越市長とどのような話をしたのか、自治会員に説明していない。市民は「蚊帳の外」に置かれている。

全7回の密室協議は、以下の通り。

協議日 ブロック 学区
6月30日 西北部ブロック 葛川、伊香立、真野、真野北、堅田、仰木、仰木の里
7月1日 東部ブロック 上田上、青山、瀬田、瀬田北、瀬田南、瀬田東
7月4日 中部ブロック 滋賀、山中比叡平、藤尾、長等、逢坂、中央
8月4日 中北ブロック 雄琴、坂本、日吉台、下阪本、唐崎
8月10日 北部ブロック 小松、木戸、和邇、小野
8月20日 南部ブロック 石山、南郷、大石、田上
8月24日 中南部ブロック 平野、膳所、富士見、晴嵐

市民センター改革推進室によると、全7回の協議は「自治連合会の主催で行われ、越市長が参加した」としている。いずれも各学区の自治連合会長と一部役員らが参加している。目的は「ブロックごとの地域性を把握するため」としている。

しかし、これらの協議については、記者会見で説明しなかっただけでなく、市のホームページにも掲載していない。同室の職員も公務で同行していたが、協議の内容については「議事録は作成しているが、ホームページに掲載していない」と説明している。ホームページに掲載しない理由として、「自治連合会の主催だから」と説明している。7ブロックの密室協議には、公務として、市長はじめ市民部の職員が「ブロックごとの地域性を把握するため」出席している。

「市民参加の36学区で意見交換会が行われる前に、各地域で発言力のある役員らに根回しし、市民の自由な意見や異論を抑えようとしたのではないか」という質問に対し、市民センター改革推進室は「それはないです。市長参加の7ブロックの説明会については、5月28日の大津市自治連合会の定例会で、自治連合会から、36学区では意見がまとまらないので、市民センターについての協議は、7ブロックに分けてほしいと話が出たためです」としている。「36学区それぞれで説明会を開いてほしいという声は、大津市自治連合会から出なかったのか?」という質問には、「出ていません。36学区で開催してほしいという意見は、夏の3会場(自由参加)の市民との意見交換会の中で出た話です」と答えている。