4月16日に新型コロナウイルスの緊急事態宣言が出され、大津市民には「外出自粛」を呼び掛け、25日から、市役所本庁舎の職員約1,200人に「自宅待機」させる中、佐藤健司市長が、あいさつ周りのため、全36学区の市民センターを飛び回っていたことがわかった。明日都(浜大津)にある大津市保健所へわざわざ行き、会議室で執務もしている。佐藤市長は自らも職員の集団感染(クラスター)が発生した庁舎内におり、感染していた可能性もあった。市長の行動について、秘書課は「(現場へ)激励に行った。予防対策はしていた」と説明している。

佐藤市長は4月21日(火)の記者会見で、本庁舎内で職員の集団感染(クラスター)が発生したため、4月25日(土)から5月6日(水)まで、感染拡大防止のため本庁舎を閉鎖した。「一層危機感を強め、感染拡大を防がなければならないという認識に立って、全庁の閉鎖を決定しました」と述べた。閉鎖期間中の勤務について問われ、佐藤市長は「自宅待機を原則とする」と発言していた。

しかし、実際は4月24日(金)に、全36学区のうち23学区、週明けの27日(月)に残りの13学区の市民センターを訪問していた。さらに、保健所や公設卸売市場も訪れていた。こうした動静は、市ホームページの市長「公務日程」には全く記載されていない。

24日(金)に23か所の市民センター訪問時は、秘書課の職員1人が同行した。1 か所15分程度だったという。予告なしの訪問は、支所の職員らを驚かせた。一方、27日(月)は、佐藤市長がたった1人で、13か所の市民センターを訪問した。25日(土)から本庁舎閉鎖となり、約1,200人の市職員らが「自宅待機」に入ったため、市長に同行する職員がいなかったとみられる。この日は、一部の市民センターに、杉江達秀副市長が、市長と別に単独で訪問していたことも取材で判明している。(※副市長の氏名が間違ってましたので、5月19日0時5分に修正しました。教育長の島崎氏には、お詫びします)

大津市は本庁舎の全職員を自宅待機させる一方、市長と副市長だけを特別扱いにし「自宅待機」から、除外していた形だ。もし佐藤市長自らが感染していた場合、訪れた各地で感染を広げるリスクもあった。

秘書課の職員は、ウオッチドッグの取材に対し、市長が市民センターを訪問したことを「激励にいきました。士気をあげるため」と話している。公務日程にそのことを記載しなかったことについて、「公務日程に、全てを書いているわけではないです。市民センターの訪問は内々のことなので」と釈明している。

「本庁舎閉鎖して感染拡大防止する」と宣言していた佐藤市長が、各学区の出先機関を訪問していたリスクについて、秘書課の職員に質問した。やりとりは以下の通り。

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ウオッチドッグ記者
佐藤市長は、感染拡大防止のため、本庁舎を閉鎖すると4月21日(火)に会見しておきながら、24日(金)と27日(月)に、なぜ各地の市民センターを訪問したのですか?
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秘書課の職員
こういう機会でないとなかなか訪ねられないですから。クラスター(集団感染)は、本館西側3階、4階でしたので。
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それなら、本館だけ閉鎖して、他の建物内(新館、別館、市長執務室など)は継続して仕事できたじゃないですか?
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(本館、新館、別館の本庁舎を職員が)移動したり、共有した場所もありましたので。
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ということは、他の職員と同じように、佐藤市長も感染していた可能性があったということじゃないですか。感染リスクを下げるための本庁舎閉鎖としながら、自宅待機期間、市長だけはフラフラ移動してどうするんですか。
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マスク着用などの予防対策をして行きました。

自粛が続き、困窮している大津市民が続々出てきている中でも、自身と役所内部のことしか考えていない市長と、それを諫めることができない市幹部らの追従ぶりが露呈した形だ。

↓2020年4月21日の市長記者会見から(抜粋)

↓ウオッチドッグが、大津市ホームページ「市長の公務日程」を基に、記載している公務と記載していない公務を一覧にまとめました。