大津市保健所を所管する、佐藤健司市長は5月25日以降、新型コロナウイルス感染症対策本部の会議を開催せず、記者会見も、7月補正予算案を説明した7月8日の会見以降、開催していないことがわかった。ウオッチドッグは、コロナ禍の初期に、佐藤市長を“沈黙市長”と名付け報道していたが、今も変わらずだった。佐藤市長の記者会見は、5月は3回、6月は0回、7月は1回、8月は未定となっている。

滋賀県内では、新型コロナウイルス感染症の第2波に入り、病院や福祉施設でのクラスター(感染者集団)が相次ぎ、現場の医療従事者、福祉従事者ら、そして、対策にあたる県職員らの緊張感が高まっている。

大津市のコロナ対策を盛り込んだ5月補正予算では、県の休業要請に応じたどうか関係ないとした上、小規模事業者と個人事業主へ、売上減少率に応じた一律の給付金を支給した。この給付金事業に、10億円の予算を計上し、国から入ったコロナ対策の地方創生臨時交付金をほぼ丸ごと使った。さらに6月補正予算では、市長自身の考えを反映した肉付け予算として、都市公園整備、スポーツ施設の整備工事、河川改修工事などの予算をふんだんに計上し、市がこれまで積み立てたきた財政調整基金から21億円を取り崩した。

5月、6月、7月補正予算と、3回にわたって巨額の予算を計上したが、これらが市内の経済状況にどう影響を与えたのか。雇用動向、失業率の推移などを踏まえたデータは示されていない。感染症対策と経済対策、2つの対策について、大津市がどうバランスを取るのか、方向性が見えない。

これまでの会見で佐藤市長は、「声をしっかり受け止める」、「生活の建て直しや経済の落ち込みの回復」、「機動的に段階に応じた対策」、「スピード感をもって」、「感染拡大防止と社会経済活動を両立」、「命と暮らしを守るため」、「段階に応じた取組を進める」、「社会経済活動の回復に努めてまいりたい」と、耳に心地よいフレーズを連発していた。

例えば、5月29日の会見で佐藤市長は、「今後とも市民の皆様、事業者の皆様の声をしっかり受け止めて、生活の建て直しや経済の落ち込みの回復に向けて、機動的に段階に応じた対策を実行してまいります」、「引き続き、市民の皆様の生活に寄り添い、市として何ができるのか、市として何をすべきなのかを考え、スピード感をもってしっかり取組んでまいりたいと考えております」などと話していた。

また、7月8日の記者会見では、「感染拡大防止と社会経済活動を両立するこれからの時期が正念場と思っています」、「今後とも市民の命と暮らしを守るため、市民、事業者の皆様に寄り添って、段階に応じた取組を進めるとともに、大津が元気になるよう社会経済活動の回復に努めてまいりたいと考えております」と話していた。

しかし、これらが確実に実行されてきたのか、疑問符が付く。一例を挙げると、大津市医師会に委託したドライブスルー方式のPCR検査はどうなったのか。計画が発表された5月末から8月までの検査状況についてのデータは一切、公開されていない。

↓2020年5月29日の佐藤市長の会見から(抜粋)

↓2020年7月8日の佐藤市長の会見から(抜粋)

安倍政権が動かないと動かず?/大津市の「対策行動計画」は無視?

6月、7月は国や県の取材をしていたウオッチドッグ記者が、久しぶりに大津市の情勢に目を向け、ホームページを覗くと、「時」が止まっていたのがわかった。

佐藤市政を2月から5月まで、ウオッチしてきたウオッチドッグ記者は、佐藤市政のある傾向を掴んだ。佐藤市長は、安倍政権が動かないと動かないということだ。国の対策本部会議も、大臣らが参加した対策会議は、5月25日が最後だった。大津市の対策本部会議も、5月25日以降、止まったままだ。国による緊急事態宣言が解除されたため、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づく本部会議ではなくなったためとみられるが、「大津市新型インフルエンザ等対策行動計画」に書いているように「危機警戒本部」に名称を戻して、本部会議は継続できるはずだ。神戸市は名称を変えて、奈良市や京都市は、対策本部の名称のままで、本部会議を継続して続けている。

国会は、6月17日で閉じた。国の対策本部は、6月18日以降、会議を持ち回り開催や、資料配布だけで終了している。持ち回り開催とは、関係省庁が順番で開催しているものなのだろう。資料配布だけで終わっているようだ。7月22日以降は、持ち回り会議さえしていない。

大津市の佐藤市長も、安倍政権に倣って、市対策本部を閉じているか? 現在、第2波の真っただ中ではないのか? 夏で感染拡大は収束するのか?  秋、冬はどうなるのか? 準備は万端で、会議を開催する必要がないということか?

※9月1日追記
8月28日に官邸ホームページを調べてわかったが、国の対策本部では、6月18日と7月22日は、首相参加のコロナ対策本部を開催していた。しかし、なぜか、このときの議事概要が掲載していない。資料だけ公開しているが参加者不明。5月25日以降、持ち回り開催したり、議事概要を掲載しない日があったりと、これまでの対策本部と違う対応。理由は不明。

↓国の対策本部会議「開催状況」/官邸ホームページより

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ウオッチドッグ記者
佐藤市長は、これまでの会見で話した通り、スピード感をもって、市本部会議で、第2波の対策や、段階的な取り組みを協議して、各種データの公開、市民への説明責任を果たしてくださいよ。行動計画通り、動いてくださいよ。

まさか、自身の票田稼ぎのため、緊急的な補正予算を利用し、必要のない事業にまで、カネをばらまいて、それで満足、終わりじゃないでしょうね? 後援会関係者や親密市議(OB含む)らが潤うためだけの施策だったんじゃないでしょうね?

↓大津市長のメッセージ/2020年6月1日以降なし/8月22日時点で

↓大津市長の記者会見/2020年7月8日以降、会見なし/8月22日時点で

↓大津市の新型コロナウイルス感染症対策本部会議/2020年5月25日以降、開催なし/8月22日時点で

↓2020年5月25日の国の対策本部会議/各大臣が出席の対策本部会議は、この日が最後。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/t_gaiyou_r020525.pdf

↓2020年8月7日・奈良市の新型コロナウイルスの対策本部会議/各種データ掲載
https://www.city.nara.lg.jp/site/press-release/84242.html

↓神戸市ホームページの対応方針・対策本部会議資料/警戒本部に名称を変え、継続して対策会議を開催している。
https://www.city.kobe.lg.jp/a73576/kenko/health/infection/protection/coronavirus_houshin_taisaku.html