大津市の佐藤健司市長は8月24日、新型コロナウイルス感染症の対策本部の会合を開催し、市長メッセージを出した。会合は午後3時からで、実に3カ月ぶり。翌25日には、対策本部の会議概要と資料を市ホームページに掲載した。ウオッチドッグは24日の午前中に、「“沈黙”市長」という見出しを付けた記事(ウオッチ№212)を報じたが、まるでそれに反応するかのように、佐藤市長が突然慌ただしく動いた。
大津市では25日、市内2つの施設クラスター(集団感染)の対応にあたっていた健康保険部所属の職員2人の感染が判明した。佐藤市長は同日、1カ月半ぶりに“沈黙”を破り、記者会見を開いた。
26日の各社の報道によると、健康保険部の職員2人が、クラスターが発生した施設で、施設職員と感染症対策について協議し、その施設職員の陽性が確認されたので、濃厚接触者としてPCR検査を受けたら、陽性が判明したという。
市によると、2人は健康保険部の40代男性職員と30代女性職員。クラスターが発生した住宅型有料老人ホームとデイサービス施設で、感染症対策について施設職員と協議したり、利用者のPCR検査の補助に当たったりしていた。協議に参加した施設職員が後日、陽性と確認され、濃厚接触者としてPCR検査を受けたという。市は25日午後から、2人が勤務していた市役所2階の同部の他、立ち寄ったとみられる市保健所などの消毒作業を行った。26日からは通常通り業務を行う。
2020年8月26日付・毎日新聞

対策にあたっての感染は気の毒ですが、なぜ、保健師でも医師でも看護師でもない、感染症対策の素人の市職員らも含めて、クラスター発生の真っただ中の施設に立入らせたのでしょうか? 濃厚接触者にあたる施設職員らとの協議に立ち会わせたのでしょうか? 大津市の対応は疑問です。運営協議は、施設内で行われたとのこと。
8月24日に開催した市対策本部会議では、「老人ホーム及びディサービス施設におけるクラスターについて」という資料を公開した。これまで、役所クラスターの際には、検査数などは公開していなかったが、施設クラスターでは検査数を明らかにした。それによると、23日時点で、老人ホーム11人、デイサービス8人、計19人の感染が判明していた。老人ホームは60人(利用者と職員)、デイサービスセンター74人(利用者と職員)の検査は済んでいるという。
23日時点で、デイサービスの利用者の44人は検査結果を待っている状態という。24日から26日までの県公表資料によると、2つの施設で、計11人の陽性が確定している。26日時点で、2つの施設の陽性者数は30人ほどになるようだ。
↓8月25日の大津市対策本部会議の資料/老人ホーム及びデイサービス施設におけるクラスター


感染症対策の素人を、クラスター発生の直後に、施設に立ち入らせるのはNGでしょう。それこそ、オンラインで協議したほうが、リスクを回避できたでしょうに。
検査要員が足りないのなら、ドライブスルー方式の検査を委託した大津市医師会に相談した方がよいのでは。施設の利用者に感染が確認されたら、どのような態勢を組んで検査するのがベストなのか、専門家を交えて、いろんなパターンをシュミレーションした方がよいのではないでしょうか。

↓2020年8月25日/佐藤市長の記者会見


疑問点①
陽性が判明した市職員は、施設で何日、対応にあたっていたのか?
疑問点②
保健所の職員でもない本庁の職員を、クラスター発生の施設に立ち入らせたのはなぜか?
疑問点③
クラスター対応にあたった市職員は何人で、何人が検査を受けたのか?
疑問点④
市長は、2施設のクラスターについて、いつ知ったのか?
疑問点⑤
26日時点までの2施設の陽性者は、何人になるのか? 検査を待っている人はまだいるのか?
疑問点⑥
市長は、感染拡大の防止に全力をあげますと言っているが、4月の市役所内クラスターのときも同じ言葉を繰り返していた。役所クラスター対策の経験を生かして、市長はこれまで、福祉施設の施設長などへ何かアドバイスをしたことがあるのか?