大津市の越直美市長による6月の定例会見のやりとりが、1か月遅れの7月23日、ホームページに「市長記者会見録」として掲載された。記者会見で越市長は、市民センターの統廃合に反対する市民の署名受け取りを拒否した問題について聞かれ、「拒否」ではなく「見合わせ」だという持論を展開し、対応した部下に責任を押しつけた。また、弁護士でもある越市長は、判例まで持ち出し、自らの正当性を主張した。
しかし、越市長は当時、署名の取り扱いをめぐり市長室で副市長らと対応を協議した後、署名を受け取らないことを決め、部下に伝えていたことがウオッチドッグの独自取材で判明している。越市長はこうした事実をひた隠しにして、部下に責任を転嫁し、言い逃れに終始した。
記者会見では、京都新聞の記者が「当日(5月21日)、署名提出のやりとりを2時間も見ていたが、受け取り拒否としか見えなかった。しかし、大津市は拒否ではなく見合わせだと説明している。いつ見合わすという話が出てきたのか」と質問。これに対して、越市長は「受け取れるように調整していた。皆さんが来られていたときに説明できなかった」とし、自らはあくまで受け取る意向だったと主張した。
一方、越市長は、東京高裁の判例を引き「判例でもこうしたケースは拒否ではない」とも釈明している。「他自治体の話を持ち出すことは(今回のケースと)そぐわないのではないか」と記者から突っ込んだ質問をされると、「判例でも確定的に拒否していない。途中のケースがあっても最終的に拒否していない。今回の事案と違うが、大津市も最終的に確定的に拒否していないという判例の規範に当てはまる」と強弁した。
さらに、京都新聞の記者が「その時に、そのことを言っていれば、ここまでこじれることはなかったと思います。何が悪かったのですか?」「なぜ、(当日、学区自治連合会長らに市側が)説明しなかったのか?」と質問されると、「なぜ、言わなかったのかはわからないです」と、市民部長や秘書課の職員の対応に責任を押しつけた。
ウオッチドッグは、大津市による署名拒否事件が起きた直後、秘書課や市民部の職員らに当日の状況を確認した。市職員らの話によると、当日、市長は執務室にいて、副市長と署名を受け取るかどうかを協議し、最終的に市民部長らに「受け取らないように」と伝えた。市民部長と秘書課の職員は、市長の指示を受け、3学区の自治連合会長らがその場で提出しようとした約1万5千人の署名を、受け取らずに押し戻したという。この一連の行為を、大津市長は「拒否ではなく、見合わせだ」と言い続けている。
↓2018年6月20日大津市長の定例記者会見(1か月後の7月23日に大津市ホームページ掲載)/市民センターの署名拒否について
http://www.city.otsu.lg.jp/shisei/mayor/teireikisyakaiken/h30nen/1531987115921.html#a9