大津市の市民センター統廃合問題をめぐり、市は急きょ、10月と11月の週末に、全36学区で市民との「意見交換会」を開くという。ホームページ上に発表したのは、3連休の初日の土曜日。最初の開催日まで1週間しかない。どうやって市民に周知できるというのか。「市民からさまざまな意見を聞きたい」というのが本当であれば、少なくとも数週間前に日程を発表すべきである。

市がやっていることは実に姑息である。継続取材しているから、弊サイトには、姑息で稚拙なやり方が見えてしまう。見え見え、である。

市は既に7月と8月に計3回の意見交換会を開いている。そこでは「身近な問題なのに、各学区で開催しないのはおかしい」という意見が相次いだ。ところが、9月はゼロ。10月6日になって突然、1週間後から36学区で開催する日程を発表した。誰かが思いつきでやっているのか、それとも、なるべく市民の参加数を減らしたいのか。いずれにせよ、「市民からさまざまな意見を聞きたい」という説明は、口先だけに過ぎないことが分かる。

全学区で市民の声を聞くつもりがあるのかどうか、弊サイトは、前身の大津WEB新報でも、何度も市担当者に確認してきた。しかし、ずっと「検討中です」という答えだった。10月6日の発表2日前にも、ウオッチドッグ記者は、市民センター改革推進室の職員に「いつ、36学区の意見交換会を開催するのか?」と聞いているが、「12月までには終わらせたい。どこの学区でいつ開催するのか、まだ決まっていない」と答えた。

7月と8月に行った3回の意見交換会で行われたアンケートでは、市民センターは「現状のままでよい」と答えた市民が半数以上を占めている。ところが、市にとって都合が悪い、このようなデータを、市は約2か月間、公表しなかった。また、市民センター統廃合に対する強い批判が出た議事録の公開にも約2か月かかっている。

なぜ、できるだけ市民が多く集まるように、日程を発表しなかったのか。なぜ1会場1時間半しか設定していないのか。なぜ急いで終わらせようとするのか。そこに越直美市長の意図がある。もともと越市長には、市民と“意見交換”する気がないのである。反対の声がどんなに多くても、市民センター統廃合案を修正したり、取り下げたりするつもりもない。越市長が心配しているのは市民の生活のことではなく、来年2月の市議会で自分がどう説明するかだ。そのために、市民と“意見交換”を十分した、しかも、全学区で開いたという形がほしい。年内に終わらせておきたい。

賢明な市民も、越市長の本音を見抜く必要がある。