大津市の市民センター統廃合問題をめぐり、7月から8月にかけて3回開かれた市民との「意見交換会」の概要をホームページで伝える際、アンケート結果を市の主張に沿う方向で印象操作していたことが明らかになった。6割超に上った「現状のままでよい」(統廃合反対)という意見を小さく、逆に「見直した方がよい」という意見を大きく見せるようにしていた。市民センター改革推進室の担当者は、ウオッチドッグからの指摘を受けた当初「印象操作の意図はない」としていたが、10月6日に掲載内容の一部を変更した。

印象操作は、①行政改革の専門家を招いて開いた7月16日の会議を「意見交換会」と位置づけている、②この会に参加した「市民」は市が招集したのに説明がない、③「現状のままでよい」という市民の意見が6割を超えたのに不公正に扱っている、④「見直した方がよい」という意見だけ内訳を掲載している、などの形で行われた。

市民センター改革推進室は、3回目の市民意見交換会から約1か月後の9月20日に、こうした不公正なデータ処理をホームページに載せ、2週間以上、掲載し続けていた。

■実態は<行革専門家会議>

7月16日の会合は、「意見交換会」と呼ばれているが、その後行われた「市民意見交換会」とは全く性格を異にしている。行政改革の専門家と称する顔ぶれがアドバイザーとして参加し、会議の基調を作り上げている。

アドバイザーは、大津市の公共施設の地域別あり方検討会で講師を務めた増井玲子氏、大津市行政改革推進委で委員をしている前川拓郎氏、大津市公共施設マネジメント推進委員の西垣泰幸氏の3人。いずれも、市から講師や委員として、報酬を受け取っている。教育機能、防災機能、福祉機能、行政事務手続きなど、多種多様な機能の問題が絡んだ市民センターあり方についての専門家というよりも、越直美市長の路線を後押しする行政改革推進派の人たちである。

したがって、「意見交換会」という名称が付けられているが、市民が自主的に参加して行われた、他の3回の「市民意見交換会」とは性格が異なる。実態は、市の主張に沿った結論ありきの<行革専門家会議>だったと言える。

■市に招集された「市民」

この<行革専門家会議>に出席した22人の市民は、以前、大津市の事業レビューに参加した人たち。市が招集を掛けたのに応じて、出席している。しかし、ホームページにはその説明がない。あたかも、自主的に参加した一般市民のように書かれている。

行革を推進するアドバイザー3人の意見をまともに受け止めたせいか、市民22人に対するアンケート結果(22人全員が回答)は、「見直した方がよい」が9割を超えた。極端なまでに市の主張に沿った形となっている。

■参加者数に10倍の開き

行政改革の専門家がアドバイザーとして参加せず、が、7月21日と28日、8月18日に3会場で行われた「市民意見交換会」には、合計198人の市民が自主的に参加した。しかし、ホームページには、<行革専門家会議>に出席した市民の約10倍の市民が参加したことが書かれていない。

アンケート結果(合計92人が回答、回答率46%)では、「見直した方がよい」が38%だったのに対し、「現行のままでよい」、つまり市民センター統廃合に反対する意見が62%を占める結果となった。<行革専門家会議>でのアンケート結果とは、様相が異なっている。

ホームページは、3会場ごとのアンケート結果を示さず、1つにまとめてしまっている。そして、市が招集した22人の「市民」のアンケート結果と同等に扱い、同じ大きさの円グラフを掲載している。

その結果、市民センター統廃合に反対する声が6割超を占めていることが矮小化され、<行革専門家会議>において「見直した方がよい」が9割を超えたという結果が、極端に強調されてしまう形になっている。

■「見直し」派だけ内訳を掲載

ホームページは、アンケート結果として、「見直した方がよい」という意見の内訳を掲載している。ところが、「現状のままでよい」(統廃合に反対)という意見の内訳については掲載していない。3回の「市民意見交換会」では、6割超を占めた「現状のままでよい」の内訳は掲載せず、「見直した方がよい」という内訳のみを掲載している。

しかも、「見直した方がよい」という人の数よりも、「内訳」の合計数が上回っている。3回の「市民意見交換会」で、「見直した方がよい」は35人だった。しかし、その内訳として、「支所を集約すべき」17人、「公民館のコミュニティセンターかをすべき」19人、「その他」12人と書いている。これでは、あたかも合計48人が「見直した方がよい」という意見を持っているように受け取れてしまう。アンケートの質問が「複数回答可」だったと推測されるが、ホームページ上は何らの説明もない。

↓印象操作された「2018年9月20日更新の大津市のホームページ『市民センター機能等のあり方検討に係る意見交換会』」

↓「指摘後に変更した2018年10月6日更新の大津市のホームページ『市民センター機能等のあり方検討に係る意見交換会』」