大津市の市民センター統廃合問題をめぐって行われた市民意見交換会では、参加した市民からの質問や意見が最も多かったテーマは、コミュニティセンターに関する問題だった。なぜ公民館ではだめなのか、どこがどう変わるのか、という根源的な質問が目立った。議事録から主な声を抜粋して紹介する。

●公民館には生涯学習専門員がいるが、コミュニティセンターにはいない。生涯学習専門員は大津市の地域における人権学習を専門にやっている。コミュニティセンターになった後の、人権学習の推進についてどう考えているのか。なぜ行政でなく地域で運営するのか。行政がコミュニティセンターを運営してもいいのではないか。

●公民館からコミュニティセンターに変わるのは、場所が同じだからと言われたが、サークルと認められるためには5つのうち3つの条件をクリアしなければならない。条件をクリアするのが大変である。条件をクリアしないと使用料がかかる。今ですら問題だが、他市のコミュニティセンターでは減免制度がなくなっている。コミュニティセンターになって減免制度もなくなり、これを使いやすい形と言えるのか疑問である。高齢者の意見を何ら聞いていない。

●公民館機能では便利になると強調したが、コミュニティセンターの法人化も考えているのか。使用料、使用制限が当然でてくるのではないかと危惧している。

●公民館のことも晴天の霹靂である。公民館は社会教育法に基づいて自治体が設置するとなっている。コミュニティセンターに変えるのは、どのような法律のもとにされるのか。 コミュニティセンターはどういう時に使うのか、位置づけになるのか。きちんとした制度はあるのか聞きたい。

●コミュニティセンターは自分達で管理することはいいと思う。どのような課題があるのか、草津市のコミュニティセンターの現状や問題点を知りたい。自治会の方にも詳しい資料を示してもらえればと思う。

●社会教育法第20条で、幅広い公民館の目的がある中で、なぜコミュニティセンターに移行するのか、全く理解できない。公民館のどこに問題があるのか。

●公民館は幅広い目的を持っているのだから、飲食も含めて住民が自由に使えるのではないか。

●市民センターをサークル活動で20数年前から利用している。食事について、 サークル活動後にお昼を食べることは何回かしていた。7、8年前に食事ができないことになった。法律上の問題ではなく、運営上の問題である。使い方も不便になった。サークル活動が減ってきているとあったが、市民は奉仕しないと使えない。運営規定が変わってサークル活動で利用しづらくなった。

●以前、自治連合会の研修会で説明のあった「平成29年度公民館自主運営モデル事業の手引き」という 35 ページの資料がありながら、1 枚の紙で市民に知らせるのはどうなのか。公民館の運営が難しいなら、どうしたらいいのか先に検討すべき。なぜコミュニティセンターにするのか。考え直してほしい。

●コミュニティセンターになると、使いやすくなるというメリットはあることは分かるが、 社会教育施設でなくなると、社会教育活動にしわ寄せがくる。メリットだけでなく、デメ リットを示して判断されるようにお願いしたい。

●現在自治会館がなく、隣の自治会と共同で使用している。古くなり10年前から自治会館を検討していたが進んでいない。コミュニティセンターは自治会館のようにいつでも使用できるようになるのか。

●大津市は自治会館を設けるより、コミュニティセンターを活用する方がいいという考えなのか。今後のことを考えると、個人的には賛成はしている。

●コミュニティセンターにするのが先進事例というとらえ方をしていると思う。ところが、草津市まちづくりセンターは、地域で運営するようになって不祥事が昨年あった。偏った講演会をまちづくりセンターでやろうとして市民からクレームがでたので、中止にはならず自治会主催にして講演会がおこなわれた。まちづくり協議会は行政職員がいない状態で、公正公平を保つことができるのか。

●社会が変わっていくイメージが大津市としてどういう形になっているのか。そ れがあって、市民センターが無くなってもいいという考えが出てくるのではないか。4 ペー ジに 4 つの機能がある。これに対する代替案は明確にないのではないか。支所は要らない、 もしくは集約と書かれているが、コミュニティセンターになると地域自治、防災はどうな るのか明確ではない。地域自治はコミュニティスクールとして学校と複合する。防災も避難所は学校なので、学校自体を減らす話もあるので難しいかもしれないが、そういう考え方もできるのではないか。コミュニティセンターにしても、今の市民センターは歩いてはいけない距離にある。歩いて行ける村単位でコミュニティセンターが出来たら皆さん便利だと思う。大きなものを集約ではなく、細かなことを地域で運営できるのが理想だと思う。

●自治会館を1つにしたいと思って活動しているが、なかなか実現が難しい。市として自治会館をつくることに協力してもらえるのか。

●今の支所もコミュニティセンターも、使いやすく変えてもらえるのはよいと思う。これからいろんな形のルールがでてくると思うが、使いやすいルールにしてほしい。

●大津公民館という名前は残るのか。

●改めて大津市が1学区1市民センターをつくり、そこを基点に生活を支えてきたことに関して、今回の再編問題を機にしっかり検証すべき。問題提起を含めて、学区ごとに市民との意見交換会をしっかり開催して、支所は証明書の発行といろんな公共料金を支払うだけでなく、そこがあることで安全安心の部分が担保されていることを重視するべきだと思う。これからますます必要性が増してくる。こういう問題は市民が最終的には決めていく。最終的にコミュニティセンターでもいいと思うが、市が一方的に物事を決定していくことをやるべきではないと思う。

●公民館は法律に基づいているので、使いにくいのでコミュニティセンターにするということだが、飲食禁止の規定は社会教育法や、大津市の公民館条例にはどこにも書いていない。飲食禁止のルールを決めているのは大津市自身で、教育委員会の判断ですぐに変えられる部分ではないか。

●(資料の)39〜40 ページのところに「コミュニティセンター化」について地域の考えに沿ってより自由な考えでと書いてある。これをみるとコミュニティセンター化しなければ、地域で自由に使えないのではないかと思える。まちづくり活動を行う拠点にコミュニティセンターにしなければ、そういう利用ができないような書き方である。実際に公民館は地域の各種団体の活動拠点となっている。ふれあい給食をする拠点にもなっている。40 ページの「コミュニティセンターを活用したまちづくり活動例」であげられている子ども食堂、放課後子ども教室、見守り活動、健康体操教室、ふれあいサロン等はすべて公民館でできるはず。実際にやっているところもある。この部分をわざわざ取り上げて、コミュニティセンターにすればこういうことができるということを、イラストを使って説明するのは違うと思う。

●公民館は、子どもの健やかな成長の場として必要だと考えて予算をつけて、生涯学習専門員を通じて、地域の人材を活用して、無料で経済的な負担もなく、どの子も参加できるように提供されてきた。今後、まちづくりセンターになるうえで、講座を開設するのは地域の自由、開館時間、使用料、何をするかも地域で考えると説明があった。それをできる地域と、高齢化が進んで担い手がいない、できない地域があり、格差が出ると思う。同じ大津市の税金を払っていても、この地域に住んでいる人は子育て講座、健康講座もあるのに、隣りの地域では誰もいない。こういった弊害面、公民館だから使えないという説明をお願いしたい。