滋賀県市民オンブズマン(代表、浅井秀明氏)は、「南郷水産センター」(滋賀県漁業協同組合連合会が運営)と一般財団法人「滋賀県青年会館」(理事長、岩永峯一元農水大臣)とに対し、滋賀県が県有地などを破格の安さで貸し出していることを違法とし、南郷水産センターの損害額2億4,560万円、青年会館の損害額990万円を賠償するよう、7月12日に住民監査請求した。
市民オンブズマンらの請求の要旨は、以下の通り。
◆南郷水産センター(65,646㎡の県有地)
・県は、広大な土地と豪華な建物を、滋賀県漁業協同組合連合会に無料で使用させているのは常軌を逸する配慮であり、財産、税金の無駄遣いである。
・行政財産使用条例の減免基準が適応されるのは、県の施策を補完、代行する事務・事業の収益事業である。県の施策とは魚の増殖事業であるが、そもそも水産センターは増殖事業をしていない。減免率の基準に該当しないことがわかっているのに、無理やり同基準を適用している。減免理由はない。このような脱法行為を行った県職員の違法性も厳しく問われなければならない。
・水産センターのホームページによると、淡水魚を中心とした有料レジャー施設で、ほぼ全ての事業が営利事業となっている。水産センターは100%の使用料を払うべきで、減免措置を適用すべきではない。
・駐車場部分は県有地であるにもかかわらず、普通車1台500円の駐車料を徴収している。滋賀県漁業協同組合連合会は、今まで使用料無料で県有地を借りておきながら、多額の営業利益を上げていた。この事実は県民感情として許されるものではない。
・県は公有財産を長期間にわたって無料で貸し続け、これまで、一度も不動産価値評価、使用料減免根拠の実態調査を行ってこなかった。
・過去5年分の2億4,500万円(2019年度支払い分差し引き)の損失となる。
・2016年度の行政財産使用許可申請書にある人物は元県職員であり、退職前は農政水産次長だった。
・水産センターの建物の価格3,200万円のうち、多目的施設、野外調理施設、便所の3つは2001年に新築されたものである。この新築3物件の価格は異常に高額である。特に便所は坪単価116万円という豪華なものになっている。
◉損害賠償責任者
滋賀県知事、総務部長、農政水産部長ら
◆滋賀県青年会館(4,857㎡の県有地)
・滋賀県青年会館へ貸し出ししている県有地について、県は行政監査を受け、減免率100%を見直した。しかし2019年は、年19万円という破格の安さで貸し出し、形だけの使用料徴収となっている。
・青年会館の敷地は、「瀬田川中之島地区重要景勝地」である。もともとは公園用地で、県民の共有財産として、瀬田の近江八景「瀬田の夕照」の景観保全、管理するもの。ところが、宿泊施設が占有し、県民誰もがいつでも楽しめる場所を阻害している。
・自然公園法施行規則に違反し、大幅に建蔽率を超過する建物を設けた。歴史ある景観を破壊している。早急に、本来の公園へ現状回復すべきである。
・県は、当該土地を「一時使用」として、目的外使用許可にした。しかし、宿泊施設は50年継続しており、一時使用ではない。
・1968年の青年会館の設立趣旨は、「県内16万青少年の宿泊研修の場を提供する目的」としている。しかし、現状は、県内青年団が10団体、総団員は92人、役員5~6人である。2017年度に青年団が利用したのは、宿泊は1団体(守山)のみで1泊7人だった。
・青年団の活動自体に公益性があるのか。青年団程度の規模の活動であれば、宿泊補助等を支出するなど、活動費自体の補助をすれば足りる。青年団専用の宿泊施設を提供し、98%減免してまで使用させることは、公の財産管理として誤っている。
・経営状況が赤字の場合に減免率を高くすべき、というような配慮を県は論じているが、本来は必要ない。公共財産を使用し、収益事業としてホテル、旅館業をしている以上、それなりの経営努力をするのは当然のことである。青年会館の財務状況は、流動資産3,400万円の現金、預貯金があり、負債も少額で、経営上の問題はない。
◉損害賠償責任者
滋賀県知事、総務部長、琵琶湖環境部長、健康医療福祉部長ら