滋賀県内の新型コロナウイルスの第2波は、これまで231人の感染が公表された。第1波100人を含めると、県内の陽性者数(累計)は331人に上る。第2波231人のうちでは、約半分の111人が既に退院しているが、80代と70代の2人が死亡した。残る118人のうち、108人が入院中で、3人はこれから入院する予定のほか、7人が宿泊療養中となっている。症状の程度別にみると、重症者は4人、中等症は17人、軽症は87人となっている。高齢者への感染が増えるにつれ、重症、中等症の割合が増えている。

8月15日時点で、県が確保している病床は157床で、そのうち45床が空床となっている。宿泊療養施設は62室を確保し、そのうち55室が空室となっている。

ウオッチドッグは、県が公表した資料を基に、第2波229人(8月15日時点までで症状などが公表された人)の症状などのデータをまとめた。3つ以上の複数症状が出ていた人は、68人で約3割だった。

症状として一番多かったのが、発熱134人で、次いで、せき49人、倦怠感43人、咽頭痛39人、頭痛34人、味覚障害34人、鼻水などが31人、嗅覚障害29人、下痢12人、関節痛など11人だった。これらに対して、症状がなかった人も56人だった。県対策班の話では、介護施設クラスターや病院クラスターでは、濃厚接触者だけでなく、全ての入所者、入院患者、職員、出入り業者などを対象とした大規模な検査をしたという。介護施設クラスターでは、330人を検査をして、31人の陽性が判明した。病院クラスターでは、361人を検査して、39人の陽性が判明したという。

年齢別では、10代から30代までが、231人中105人と、約半数を占めていた。ウオッチドッグが作成した一覧表では、10代から30代までの年代に、で印をつけた。若い世代の感染が多いのは、約100年前のスペイン風邪のときと同じ傾向だ。

今後は、スペイン風邪の流行でも起きた医師や看護師、衛生用品の不足、高齢世代への感染の広がりに注視しながら、「医療崩壊」と死亡者増加を防いでいく手立てが求められる。

100年前のスペイン風邪の流行時は、国の衛生局(厚労省前身)が、「予防心得」を打ち出し、「はやりかぜはどうして伝染するのか」、「罹らぬには」、「罹ったなら」、「気をつけるべきこと」などを項目分けして、国民に啓発していた。絵と一言、二言のキャッチフレーズを使い、カラー刷りのポスターを作って、若い世代がよく行く場所などに掲示していた。

現代も若い世代が理解できるような予防啓発に取り組む必要がある。しかし、厚労省が打ち出した「新しい生活様式」というネーミングと啓発文は、国民に選択させるような曖昧なイメージを持たせている。人々に何を求めているのか、何のためにするのか、とにかく分かりにくい。頭に入りにくい細々としたことを羅列している。なぜ、こうした方法を推奨しているのか説明もしていない。「3密回避」という予防対策のひとつすら、「新しい生活様式」というものに含めてしまっている。

例えば、厚労省の「新しい生活様式」では、「買い物」の項目に「通販も利用」、とか、「食事」の項目に「屋外空間で気持ちよく」などが挙げられている。感染防止対策をしている近くの店で買い物したり、食事をしたりして、地元小売業を応援している人はたくさんいる。わざわざ細々とした「通販も利用」とか、「屋外空間で気持ちよく」など書く必要ないだろう。こんなことが新しい生活なのか、疑問である。

なぜ、これを推奨するのか理由を示さず、このような細かい事例を羅列することで、経済の足を引っ張っている。それより、飛沫防止をどうするかという具体的な予防策に言及し、国民がそれぞれの生活様式を見いだした方が自然だろう。初動ミスが続いて、新型コロナウイルス感染拡大を抑え込めなかった政府は、自らの失策隠しのために、「新しい」というイメージのよい言葉を入れ込んだのではという疑念も生じる。

地方自治体も、政府が打ち出した、予防策なのかわからない「新しい生活様式」という言葉を大々的に取り上げている。大津市も使いまくりだった。「3密回避」を含め、やろうとしていることは新しくもなんともない。昔から続く、感染予防の基本でもある。

約100年前と同じように公衆衛生上の予防とするなら、「予防」という明確な言葉を打ち出さないと響かないのではないか。厚労省は、最近ようやくテレビコマーシャルで、「予防」を意識した若者向けの啓発動画を出したが、遅すぎた。

第2波の患者症例データ(101例から331例まで)/ウオッチドッグ作成
第2波症例(25例ごと)のまとめ
参照:県ホームページから/PCR検査結果及び病床数の状況など(抜粋)