ウオッチドッグは、滋賀県市民オンブズマンが監査請求を提起した後の2018年から、一般財団法人「滋賀県青年会館」問題を調査し報道してきた。市民オンブズマンらは、滋賀県へ提出した監査請求書の中で「県議や国会議員を務め、50年間も理事長をしていた岩永峯一氏に県側が忖度したのではないか」と主張していた。当時、ウオッチドッグは、オンブズマンらの監査請求書を読み「県側の忖度」について調査を始めた。

大津地裁は2022年9月9日の判決で、青年会館に対する県の減免措置決定は「違法」と認めた。そこに至るまで、大手メディアはこの問題をほとんど報じなかった。一方、ウオッチドッグは、問題を調査し、岩永理事長の動きと県側の「忖度」をウオッチし続けていた。この機会に、これまでの報道を振り返る。

ウオッチドッグが報道した「ウオッチ滋賀№1」(2018年4月9日)は、「青年会館」問題だった。

敷地の無償提供を続行/元農水相の財団のホテルへ/滋賀県、40年以上/ウオッチ滋賀№1

滋賀県青年会館は1977年に増築してホテル業を開始し、1986年からレストランも運営している。こうした実態を知った滋賀県市民オンブズマンは住民監査請求を起こし、「年間1300万円の土地代を無償で40年間も貸し出し、過去5年分で5811万円の実質損害を与えたこと、40年分の損害額は少なく見積もって4億円にもなる」と主張。滋賀県に対して契約の見直しと正当な使用料を請求するよう勧告を求めた。また、無償貸し出しの事実が生じた原因には、県議や国会議員を務めた岩永峯一氏が、1968年の法人設立から現在まで50年間も理事長であったことから、県側が「忖度」したのではないかと主張していた。

2018年4月9日付・ウオッチドッグより抜粋
「青年会館」関連は、虚偽報告でもノーチェック。これも「忖度」では。
青年会館に事務局がある「滋賀県青年団体連合会」が、青年団の人数を水増ししていた問題もありましたね。少し調査しただけですぐわかるようなことを、なぜ、滋賀県は確認しなかったのか、魔訶不思議でした。
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「忖度」解説者ウオッチドッグ記者

青年団の人数を3倍に水増し/青年団体連合会が虚偽報告/滋賀県はチェックせず/会館敷地の無償提供問題/ウオッチ滋賀№2

元農水相の岩永峯一氏が理事長を務める青年会館の敷地を、滋賀県が無償提供していた問題で、この施設に事務局を置く「滋賀県青年団体連合会」が、団員数を水増しして県側に報告していたことが明らかになった。ウオッチドッグ編集部の取材に対し、事務局長が県への虚偽報告を認めた。県内各地の青年団の人数は、合わせて92人だったが、300人に水増しされていた。

滋賀県側は虚偽の報告を鵜呑みにしていた。今後、県のこうしたずさんなチェック態勢も厳しく問われそうだ。

2018年4月10日付・ウオッチドッグより抜粋
ホテル営業の「青年会館」の増築、改修の費用まで補助金から。これも「忖度」では。
滋賀県青年会館は1967年に建設。それからずっと理事長は岩永峯一氏。
会館の増築工事費は、県の補助金から8,000万円。改修工事も1億6,000万円の補助金。合計2億4,000万円の建設費用が県から補助されていたのに、「青年会館」の県有地の使用料はタダでした。土地代タダで営利事業を行っていた団体へ、至れり尽くせりの県の対応。唖然、茫然の取材でした。
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「忖度」解説者ウオッチドッグ記者

2億4千万円を滋賀県が補助/青年会館の増築と改修/岩永元農水相の財団へ/ウオッチ滋賀No. 6

元農水相の岩永峯一氏が理事長を務める一般財団法人「滋賀県青年会館」へ、滋賀県が県有地を無償で提供していた問題で、宿泊施設の増築工事費や改修工事にも、県が補助金2億4千万円を支出していたことが、情報公開請求の開示資料でわかった。滋賀県は県有地を無償で使わせているが、滋賀県青年会館は、一般客相手のホテルを40年間営業している。「不公平にあたる」と、監査委員から疑問の声が出ていた。

2018年5月1日付・ウオッチドッグより抜粋
県職員へ“圧力”発言後に、格安19万円で決着。これも「忖度」では。
滋賀県は「県の施策を補完・代行する事務・事業のため」という理由で、青年会館の土地の使用料を全額免除にしていました。取材でわかったことですが、県は「青年会館」が公共的な活動をしているかどうか、会館が提示した資料を見て判断するだけで、現地で実態調査はしていないということでした。それでどうして、「公共的な活動」をしていると判断できるのか、疑問だらけでした。減免問題が明らかになり、使用料徴収の話が出た途端、岩永理事長が県庁を訪問。岩永理事長の“圧力“発言に押されて、県は格安の使用料で決着を図ったのでは。
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「忖度」解説者ウオッチドッグ記者

「使用料徴収なら知事と話す」/岩永元大臣らが職員に”圧力”/1100万円の県有地は19万円で決着/滋賀県青年会館/ウオッチ滋賀№24

元農水相の岩永峯一氏(77)が理事長を務め、観光ホテルを営業している一般財団法人「滋賀県青年会館」(大津市唐橋町)に対して、滋賀県が年約1,100万円相当の県有地を40年以上も無償提供していた問題で、監査結果を伝達した県職員に対し、岩永氏ら青年会館側が「使用料を徴収するというなら、知事や監査委員、議員と直接話をする」など、“圧力”ともとれる発言をしていたことが、協議録でわかった。このやりとりの4カ月後、滋賀県は、2019年度に19万円、2020年度に37万円、2021年度に56万円で県有地を貸すことを決定した。

2019年6月5日付・ウオッチドッグより抜粋
県の「忖度」が終了しそうなとき県庁に登場の岩永理事長。ウオッチドッグの取材には「忖度」せず
ウオッチドッグ記者が何度も取材を申し込んだのに、取材を拒否し続けた岩永理事長。減免問題が取り上げられ使用料徴収の話が出た途端、県庁に現れ、職員へ“圧力”発言をしていたのにはびっくり。
協議録では、県職員に感情を爆発させていたけど、ウオッチドッグ記者が代わりに話を聞きたかったなあ。
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「忖度」解説者ウオッチドッグ記者

岩永理事長は取材拒否/出勤予定も不明/県有地タダの青年会館問題/ウオッチ滋賀№8

【取材メモ】「いつなら?」「わかりません」/青年会館の事務長との一問一答/岩永理事長への取材で/ウオッチ滋賀№9