みなさん、明けましておめでとうございます。2019年の公開講座「市民と社会」を受け持つウオッチキャットです。きれいな長い尻尾が自慢です。残念ながら、ネコは、干支に入ってませんが、人間に組織されない気ままな生活を楽しんでいます。今年最初の授業のテーマは「プロパガンダ」です。

キャット先生。「プロパガンダ」とは何ですか?

ウサ美さん、いい質問ですね。まずは、ネット上の辞書を見てみましょう。ウィキペディアでは、「情報戦、心理戦もしくは宣伝戦、世論戦と和訳され、しばしば大きな政治的意味を持つ」と書かれています。コトバンクでは「宣伝。特に、ある政治的意図のもとに主義や思想を強調する宣伝」、weblio辞典では、「特定の思想・世論・意識・行動へ誘導する意図を持った行為」とあります。つまり、政治的意図のための宣伝です。いつの時代でも、ありとあらゆるところで、プロバガンダは行われています。

「政治的意図」と言われても、イメージがわきません。

いきなりちょっと難しかったかも。チュー太さんのように、イメージがわかない干支クラスのみなさんのために、キャット先生は、わかりやすい資料を用意しました。みなさんの机に配布してますよ。大津市が発行する広報誌「広報おおつ」1月1日号です。大津市が各世帯へ配布している広報物です。国のプロバガンダは、実に巧妙ですが、大津市のプロバガンダは、幼稚園児が作ったような、一目でわかりやすいものとなっています。教材として最適だニャ。


まずは、2ページを開いてください。キャット先生が、気になる箇所を赤枠で囲んだり、線を引いてます。

↓「広報おおつ」1月1日号みなさん、よく読んでください。大津市民の関心の高い市民センター統廃合問題についてです。1月1日号は、冒頭「市民センターのあり方について、市民のみなさんと一緒に考えるため、様々な機会を通して市の検討内容をお知らせしてきました。9月1日に開催した事業レビューや、10月13日(土)~同11月18日(日)にかけて36学区で開催しました学区意見交換会でのご意見の一部を紹介させていただきます」と書いてます。
では、次に、同じく3ヶ月前に大津市が配布した、10月1日号の「広報おおつ」を見てみましょう。


1月1日号と同じく、市民センター統廃合問題です。冒頭では「市民センターのあり方について、市民のみなさんと一緒に考えるため、6月15日号で特集記事や生涯学習センター、和邇文化センター、市役所の3会場での意見交換会をはじめ、様々な機会を通して、市の検討経過をお知らせしてきました。今回は、市民のみなさんからいただきましたご質問やご意見の一部を紹介させていただきます」と書いてます。両号とも、「市民のみなさんと一緒に考えるため」という言葉を入れてます。これが、印象づけたい言葉だニャ。これを読んだ素直な読者は、「大津市って市民のことを考えているんだ」と思うでしょう。しかし、実際のところは、水面下で着々と進めていて、計画から5年後にやっと、しぶしぶ開催しました。

↓「広報おおつ」10月1日号
10月1日号と1月1日号の赤枠で囲んでいる部分を比べてみてください。微妙に入れ替えして、いくつかの文言を追加していますが、市民の質問や市の考えはほぼ同じです。「防災や地域自治」の質問になると、内容はそのままです。

本当だ。意見や質問は、これしか出なかったということですか?

そんなことニャいです。市民から多くの批判的な意見が出ていましたが、どちらも、それをあえて書いてニャいですねぇ。特に防災については、多種多様な意見が出ていましたが、市の回答は「初動支所班を配置している」とだけ。自治会加入率について、36学区中、何人が意見したのでしょう? なのに、10月と1月の両方で取り上げています。反対に、意見交換会なのに、市長の施策に対する批判的な意見や、矛盾を突いた数多くの意見などは、全く書いてません。耳の痛い意見は、取り上げニャいということでしょう。

それは、ひどいモー。

確かにひどいです。しかしですね。市民が批判した意見の中から、一部を抜き出し、わからない形にして、1月1日号の「広報おおつ」に加えています。10月1日号と1月1日号を比較すると、同じ内容の質問なのに、「市の考え」が微妙に変わっています。1月1日号は、不都合な部分を隠したり、前になかったものがあったりしています。同じ内容の説明なのに変ですね。その時々の状況でコロコロ変わる、大津市の真意が読み取れるでしょう。「公民館のコミュニティセンター化」の意見と回答に赤線を引いてます。見てみましょう。何か気づいたことはありますか?

あっ、まちづくり協議会の担い手についてですが、10月1日号では「自治連合会や各種団体など、様々な地域団体で構成させる」と書いてありましたが、1月1日号では、その言葉がなくなっています。代わりに「自治会、個人や多様な主体」を加えています。

トリ太郎さん、よく気がつきましたね。まちづくり協議会の担い手が、自治連合会だということが知れ渡るとイメージ低下になると考えたのでしょう。自治連合会に対する市民の反感や不満は、あちらこちらから聞こえてますから。意見交換会では、自治連合会に対して、批判的な意見も出ていました。本来は、担い手の中心として入る予定なのに、あえて、その言葉を引っ込めてます。意図する方向に粛々と進めるためのイメージ作りとして、まちづくり協議会の担い手を「自治会や個人、多様な主体」という言葉にすり替え、ごまかそうとしているのでしょう。

もうそろそろ、1時限目が終わります。キャット先生は、大真面目が疲れたので、ちょっとひと休みして、好物の🐡を食べて来ます。ウオッチキャット先生の2019年公開講座「市民と社会」、テーマは「プロパガンダ」。2時限目をお楽しみに。