国会議員に渡る文書通信交通滞在費は、1人当たり月額100万円に上る。現在、衆議院議員は465人、参議院議員は245人の計710人だから、1人年1,200万円を掛け算すると、年85億円が詳細な規定のないまま文書通信交通滞在費として国会議員らに渡されている。日本維新の会など一部の政党で独自の規定を設け、国会議員らの使途を公開しているが、大半の国会議員は、領収書なしで報告不要の「使途不明金」のまま1人月額100万円を使っている。
国会議員の文書通信交通滞在費・総額85億円の規模を想像してみる。大津市の2021年度の予算で比較すると、【特別会計】後期高齢者医療事業45億2,600万円と、母子父子寡婦福祉資金貸付事業1億1,900万円と、学校給食事業27億7,846円を全部足しても追いつかない。

ウオッチキャットとウオッチドッグ記者は、自民党総裁選のテレビニュースを観ながらこんなやりとりを始めた。






A衆議院議員が●月●日、文書通信交通滞在費を100万円を受け取った。毎月100万円を受け取り、何に使うか楽しみにしていた議員は、久しぶりに、無料で乗車できるJRパスを使い、地方の自宅へ戻った。先月は、東京の高級料理店のフルコースを愛人と一緒に堪能したが、さすがにバツが悪いから、今月は、奥さんの親族も一緒の家族旅行を計画したのだ。公設秘書が親族へ旅行計画の「文書」を発送し、旅行会社に電話で予約した。息子たちにも携帯電話のLINEで「通信」して知らせた。
いよいよ、旅行当日、親族、家族10人で、飛行機という「交通」手段を使い、沖縄へ向かった。沖縄では、最近建ったばかりの高級ホテルに1週間ほど「滞在」し、旅行を満喫した。余った文書通信交通滞在費は、そのまま議員の小遣いと消え、帳面にも記載していないので、いくら使ったのか思い出すこともできなくなった。文書通信交通滞在費は、国民に公開する必要も税金も払う心配もないので、議員はホッとしている。


B参議院議員は、月額100万円の文書通信交通滞在費を受け取った。自身のスキャンダルが掲載している週刊誌を数冊「文書」として購入した。週刊誌には、緊急事態宣言下に密かに行われた献金業者との深夜の乱痴気パーティがスクープされたのだ。こうしたことが報道されたと知るや、B参議院議員は、公設秘書、私設秘書らに命じて後援会関係者に「通信」手段を使い、釈明の電話やメールをした。それでも騒ぎがおさまらなかったので、C航空会社の「交通」機関で、議員特権の無料航空券を使い地元へ戻り、後援会関係者へ釈明の行脚をした。
騒ぎがおさまった後、B参議院議員は、麹町議員宿舎の2DKの家賃4万5174円を支払った。ここは表向き第1ハウスとなっていて、第2ハウスは、ほとぼりがおさまった後、大好きな乱痴気パーティやいろんな人を連れ込むことができるタワーマンションを1カ月50万円で借りている。
残りは地元の後援会へ、激励金を含んだ事務所家賃の「滞在」費用として20万円を送っている。事務所の家賃代は田舎なのでほとんどかからないが、家賃を差し引いた残りのカネは地元の支援者らが飲み代などに自由に充てることができるので、B参議院議員は次回の選挙も勝てるぞと安心している。残ったお金は、私設秘書に渡し次の選挙費用のための貯金に回している。文書通信交通滞在費は、議員として生き残るためのバラマキカネとして重宝している。
