大津市の越直美市長は10月に入って、大津市自治連合会が中心となってコミュニティセンターを運営すると、公の席で認めた。しかし、これまで全36学区で開かれた説明会や、市のホームページなどでは、このような説明は一切なされていない。市民に対する越市長の“だまし討ち”が、また明らかになった形だ。

越市長は10月2日、二転三転したコミュニティー条例案をめぐり、市政記者クラブに加盟する報道各社に対して「自主自立のまちづくりを進めるのがコミュニュセンター化の目的」と、従来と同じような説明をした。しかし、同じ日に開かれた市議会の議会運営委員会では、コミュニティセンターの指定管理者は「まちづくり協議会」であり、その「重要な構成団体は大津市自治連合会だ」と説明した。

今年に入ってからの経緯を振り返ってみよう。2月1日に公表された「実施案」や、全36学区で開かれた説明会で配布された資料では、新たな地域自治組織として「まちづくり協議会」を打ち出し、「全住民を対象にした活動を実施します」「各種団体、各法人、全住民が構成員(会員)となることができます」などと、これまでとの違いを強調した。つまり、「まちづくり協議会」は、大津市から多額の補助金を受けている任意団体の「自治連合会」だけでなく、「自治会」「各種団体」「社団・財団・NPO法人」「事業者」「個人」など、さまざまな組織・個人が担い手になるとした。「まちづくり計画書」を地域全体で決め、実行していく組織が「まちづくり協議会」であると、大津市は繰り返し説明してきた。

各学区における説明会が全て終わった後、8月に入って市は、「管理運営主体として、自治連合会等の地域各種団体を中心として構成される(仮称)コミュニティセンター運営委員会に、運営業務委託する」という資料を作成している。この段階でもなお、「自治連合会」は地域各種団体の1つと位置づけられている。

↓10月2日に越市長が、「コミュニティセンター条例」の提出見送りを市議らに説明した内容/市議会ホームページより/「まちづくり協議会の重要な構成団体となる同自治連合会からの申し出であるため」

↓9月17日の市議会、公共施設対策特別委員会で配布された資料/8月に作成されたもの

↓越市長が2月1日に公表した実施案/「まちづくり協議会とは、各種団体、各法人、全住民が構成員(会員)となることができます」

↓6月、7月に開催された学区説明会で配布された資料/実施案を一般支所用に変えたもの/まちづくり協議会の部分は実施案と同じ/「まちづくり協議会とは、各種団体、各法人、全住民が構成員(会員)となることができます」