大津市は、台風21号の影響で約26時間、停電していた地域があったのに、1人暮らしの高齢者や要援護者の安否確認を行っていなかったことが、ウオッチドッグの取材でわかった。

台風は9月4日に関西を直撃し、猛威を振るった。同日午後3時には、大津市山中比叡平の全域が停電となり、翌日5日の午後5時まで復旧しなかった。

山中比叡平は1,278世帯が暮らし、高齢化率は約40㌫。比叡平は標高約400m近くの比叡山中腹部に位置し、災害時は孤立する恐れがあると、かねてから福祉関係者の間では懸念されていた地域だった。

山中比叡平支所の支所長の話によると、山中比叡平で停電が起きたのは、4日の午後3時で、支所長から大津市の危機防災課には「停電した」ことを伝えたという。この日の未明から、台風による倒木により、大津市側からの道路が通行止めになっていたが、翌日5日の午前6時半には、通行できるようになったという。

しかし、停電は続いていた。道路が復旧した5日の午前中になっても、大津市は長寿政策課や福祉政策課が、高齢者や要援護者の安否確認を行っていなかった。

山中比叡平で1人暮らしをしている85歳の女性は、「4日午後3時から真っ暗になり、テレビもつかないので、そのまま椅子に座っていた。翌日も停電が続いた。携帯電話は持っていない。行政から何の情報もなかった。電気がついたのは、翌日の夕方5時。私はまだ大丈夫だったが、長引けば、持病のある1人暮らしの高齢者は亡くなっていたかもしれない」と憤りを露わにしていた。

↓山中比叡平のグーグルマップ(航空写真)