今回の住民監査請求では、監査委員が出した結論(監査結果)の中に、請求人ら市民側が「おかしい」と訴えた重要な主張がいくつも抜け落ちていました。監査委員は市民側の主張に向き合わず、大津市側に都合のよい結論を出していました。シリーズ「逃げた監査委員」では、監査委員が意図的に判断を避けた部分を逐一指摘していきます。
まず、「大津市は、毎年ほぼ同金額約1,500万円を4業者と随意契約している」という、市民側の指摘を、監査委員は取り上げていませんでした。
市民側は、大津市が業者らと結んだ随意契約が「約1,500万円という金額ありき」で結ばれており、意見陳述の場でも「おかしい」と訴えました。2021年度の随意契約金は、2019年度のごみ量を元に算出していると市側は主張しています。一方、市民側は、2019年度のごみ収集運搬の随意契約で、少量のごみを、業者らがわざわざ複数台のパッカー車を出し、大がかりに収集運搬していた実態を明らかにしました。
2021年度の随意契約の金額は、2019年度のごみの量を基準にしている。そうであるなら、適切な金額を算出するために、2019年度に適切なごみ収集運搬が行われたかどうか、本来は契約主体の大津市が調査すべきです。
市民側が調査してみると、2019年度は、積載量に満たない少量のごみを、4トンパッカー車が過剰な台数で収集運搬し、複数台が連なり数分おきに搬入していました。こうした実態は、地方自治法・第2条第14項の「地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」に反しています。
さらに、2021年度のごみ量は、2019年度より168トン減っていました。しかし、2022年度の琵琶湖市民清掃の随意契約金は、削減されるどころか、1,578万円に増額されていました。
だからこそ、市民側は「業者らへ支払う随意契約金ありきの事業ではないか」という主張を、監査委員へ投げかけました。2019年度と2021年度のごみ量が違うのに、毎年ほぼ同じ金額の随意契約を締結している。それは「おかしい」と、市民側は主張しました。
にもかかわらず、監査委員は市民側の主張を判断せず、やり過ごしました。責任を果たさず、逃げたのです。