大津市の市民センター統廃合問題は、超高齢化社会におけるまちづくりのあり方を根幹から考える問題で、防災、福祉、教育、交通、公共施設のマネジメントなど、重要な課題が凝縮している。ウオッチドッグは、市民代表の大津市議が、この問題にどう向き合ったのかを検証する。
大津市議会(通常会議)の一般質問と質疑を振り返ってみた。時期は、市民センターに関する計画が始まった2014年度から、2018年9月まで。各派の代表質問は省いた。
♦計画発端の2014年度
2014年10月に、越直美市長が市役所内部の協議で「新規機能は考えない。7か所にする」と発言していた。
議員名 会派 |
2014年6月 | 2014年9月 | 2015年2月 |
河合昭成 市民ネット21 |
市民センターの更新のあり方について | ||
黄野瀬明子 共産党 |
公共施設のマネジメントについて | ||
谷祐治 清正会 |
市民センター機能等のあり方検討事業について |
♦計画2年目の2015年度
市民部が、大阪のコンサルタント会社へ320万円で「市民センター機能等のあり方検討について」を業務委託した。この問題が初めて新聞で報道された。
議員名 会派 |
2015年6月 | 2015年9月 | 2016年2月 |
岸本典子 共産党 |
公共施設の再編について | ||
谷祐治 志成会(※現在、清正会) |
市民センターにおける災害対応力の強化について | 防災力強化につながる取組みについて | |
幸光正嗣 湖誠会 |
まちづくり協議会について | ||
河合昭成 市民ネット21 |
次の時代のまちづくりのあり方について |
♦計画3年目の2016年度
市民部が、大阪のコンサルタント会社へ540万円で「市民センター機能等のあり方検討について」を業務委託した。
議員名 会派 |
2016年6月 | 2016年11月 | 2017年2月 |
八田憲児 湖誠会 |
生涯学習の推進について(公民館運営のあり方) | ||
幸光正嗣 湖誠会 |
大津市立幼稚園における3年保育の実施と公共施設の規模適正化について | ||
岸本典子 共産党 |
将来のまちづくりにおける公共施設のあり方について | ||
山本哲平 志成会(※現在、志士の会) |
新たな自治組織の構築について |
♦計画4年目の2017年度
市民部が、大阪のコンサルタント会社へ、600万円で「市民センター機能等のあり方検討について」を業務委託。20人ほどのベテラン支所長が一斉辞任し、2017年4月から新支所長が就任した。
大津市は11月、統廃合の「素案」を市議会と自治連合会へ提示した。メディアの報道で「市民センター統廃合」を多くの市民が知り、注目度が高まった。一部学区が反対署名を集め始め、新聞報道された。越市長は2018年2月、「大津市自治連合会長から学区ごとの署名を受け取らないように」と要請があったことを、記者会見で話した。
議員名 会派 |
2017年6月 | 2017年9月 | 2017年11月 (素案) |
2018年2月 (一部学区で反対署名活動) |
林まり 共産党 |
公共施設の適正化は現在の36学区を活かしたまちづくりの一環で | |||
船本力 市民ネット21 |
公共施設のマネジメントについて | 市民センター再編素案における支所機能の見直しと、現在のマイナンバーの活用状況について | ||
近藤眞弘 湖誠会 |
市民センター機能等のあり方について | 市民センター機能等のあり方について | ||
嘉田修平 チーム大津(※現在、市民ネット21) |
市民センターにおける人員配置について | 市民センター機能等の再編について | ||
岸本典子 共産党 |
公共施設適正化の取り組みについて | 支所機能の集約・廃止について。公民館のコミュニティセンター化について。市民との協働のまちづくりについて | ||
武田平吾 湖誠会(※現在は、無所属の会) |
市民センターあり方について | |||
藤井哲也 志成会(※現在、おおつ志成会) |
協働のまちづくりの推進について。市民センター機能等のあり方検討について | 市民センター機能等のあり方検討について | ||
高橋健二 公明党 |
市民センター機能等のあり方について | |||
草川肇 市民ネット21 |
市民センター再編素案について | |||
改田勝彦 公明党 |
現在検討されている市民センター機能の再編について | |||
青山三四郎 湖誠会 |
行政と自治会のあり方と協働について | |||
伊藤茂 湖誠会 |
障害者交通手段の利用助成で気になることについて | |||
濱奥修利 公明党 |
支所職員の削減案について |
♦計画5年目の2018年度
2018年5月に3学区の学区自治連合会長が1万5千筆の反対署名を提出しようとしたが、大津市が受け取りを拒否した。前代未聞の出来事として全国ニュースに。批判が高じて、後日、受け取ることに方針転回した。
議員名 会派 |
2018年6月 (大津市民1万5千筆の反対署名の受け取りを市が拒否後) |
2018年9月 |
伴孝昭 新風 |
市民センターの再編方針に関する市民意見とその対応について。昨年度の公共施設対策特別委員会の意見と中間報告に対する市の対応について。市民センターの建物や設備に関する課題について。市民センターの再編に向けた今後のスケジュールや考え方について | |
杉浦智子 共産党 |
署名受け取りを拒否された市長の政治姿勢について | |
船本力 市民ネット21 |
公共施設のマネジメントについて | |
谷祐治 志成会(※現在、清正会) |
まちづくり協議会がコミュニティセンターの運営を担う上での課題について | |
藤井哲也 志成会(※現在、おおつ志成会) |
市民センター機能等のあり方検討について | |
武田平吾 無所属の会 |
市民センター再編に関する市長の基本姿勢について | 市民センター再編について |
林まり 共産党 |
安心して住み続けるための市民センターのあり方について | |
八田憲児 湖誠会 |
効率的な市政運営について |
※2018年9月の通常会議の会議録は、12月9日時点で大津市議会ホームページにアップされていないため、リンク貼れません。
↓参考「市民センター機能等のあり方に関する質問(2014年2月~2018年9月の通常会議)
↓各会派議員構成(2018年11月時点)