大津市議会の津田新三市議(湖誠会、自民党)に、琵琶湖市民清掃の「積極的支援」の意味を質問したウオッチドッグ記者は、電話でのやりとりで「議員の仕事って何なのだろう?」と驚いた。そのレポートをお届けする。

ウオッチドッグ記者は、市民センター統廃合問題の市議会各派の取り組みを探るため、湖誠会のホームページに書いてあった「政策要望書」をなにげに読んだ。その中身には、いろいろ驚かされたが、そのうちのひとつ「琵琶湖市民清掃に対し、引き続き運営方法の検討と積極的な支援を図られたい」という項目に目を止めた。

「何じゃ。これは?」と思った。その後に、沸々と怒りが湧き上がってきた。琵琶湖市民清掃の事業については、2014年からウオッチドッグ(前身の大津WEB新報)記者が、かなりの時間を費やして、調査し続けてきた。補助金の不適切使途や廃棄物処理法違反の実態などを明らかにし、報道した。報道によって、隠していた不都合な事実が明るみになったら、大津市は、次のごまかしの方法を考え、また新たなやり方に潜ろうとした。

こうしたおかしな事業についてのチェックは本来、行政の監視を標榜する市議会議員の仕事だろう。琵琶湖市民清掃がどんな事業なのかを検証し、公金使途が適切か、公正なチェック体制が行われているかを監視するのが、市議会議員の仕事じゃないか、と思った。

どんな事業かを検証することをふっ飛ばして、何が積極的支援じゃ。これを書いた湖誠会へ、真相を尋ねるため、11月26日夕方に、湖誠会の事務局へ電話した。竹内照夫幹事長宛で電話したが、応対した事務員は、「幹事長はすでに帰宅した」と話した。政策要望書のことを尋ねると、政策要望書は津田新三政調会長がとりまとめをしているとのこと。津田議員も帰宅していたので、議員名簿の連絡先に電話したが不在。仕方がないので、翌日の27日夕方、再度、電話をした。

しばらく電話音がつづいた後、やっとつながった。

津田議員でいらっしゃいますよね? ウオッチドッグの大井です。湖誠会の平成31年度の政策要望書に、「琵琶湖市民清掃へ積極的支援」と書いてましたが、この「積極的支援」ってどういう意味か教えていただきたのですが。

手元に資料がないんで、見ないと・・。

別に資料がなくても、積極的支援ということがどういうことなのかはご説明できることですよね? もっとお金を出せってことですか?

要望書に細かく金額書いていたわけじゃあるまいし、見ないとわからんわけないでしょうが。

いやいや、人的な支援のことで。役所の人に手伝いをしてもらうということで。

それって今までもやってましたよね。おっしゃっていることが、よくわかりません。何をどうしろということなんですか? 大津WEB新報のサイトで、琵琶湖市民清掃については、不適切な補助金使途や、廃棄物処理法違反ではという問題を証拠資料をつけて報道してましたが、このことはご存知でしたか?

知ってます。

だったら、市民が問題だと言っている中で、何の積極的支援をするのですか?

琵琶湖市民清掃は、大津市全体で取り組んでいて、市民にとってもかけがいのないもので、7月に年1回、朝早くから集まって清掃して、琵琶湖をみんなできれいにして…。

それって理念ですよね。積極的支援の具体的な内容を聞いているんですけど。過去の補助金の問題を言っているんですけど。

いやいやそういう問題もあるんだろうけど、私のところの堅田(学区)は琵琶湖をきれいにしたいという欲求が強いんでね。

ボランティア清掃というのなら、何も(行政に)お金を出してもらうことはないでしょう。

そんなことを言っても、お茶代ぐらいいいだろう。

大津市が財政難だとかなんとか言っている渦中ですよね。飲み物やごみ袋はそれぞれ持参すればいいことですよね。そうじゃないですか?

大津市と実践本部は、7万人の市民が参加していると宣伝しているのだから、1人100円の飲み物を用意したら、税金700万円を飲み物代として投入することになる。それでいいという大津市民が果たしてどれだけいるのか。

お茶代ぐらいいいだろう。暑い中、出てもらっているんだから。

飲み物、飲み物と言いますけど、参加者全員に行きわたっているわけじゃないですよね。過去の資料では、自治連の役員らだけで、飲食していたじゃないですか。大津市の財政のことを考えながら新しい提案をするのが議員の仕事じゃないんですか?

補助金のことやらは、だいぶ過去の話でしょう。

やっている(運営している)人物は変わってませんよね。問題はそういうところに金を出していたことで、そこに積極的支援するとは、どういうことか聞いているんですが。具体的に説明してください。

それは、ごみをほかす時にダンプがいりますよね。そういうところに人を出せないかということです。補助金うんぬんは、(要望書に)そこまで書いてない。

ごみをほかすとかいうのは、行政の仕事で、廃棄物処理法でも行政の責務と書いてますので、それを市民の代表の議員らが「積極的に」と要望するのは、意味がわかりませんし、違うのではないかと思いますが。別の話ではないですか。

それぞれのごみ処分は、行政が考えること。行政によるごみ処分方法を監視して、不適切なごみ処理が発覚した時に、「適切な処分を」と指摘、是正させるのが議員の仕事でしょうが。

やっている人は、きれいにしたいと思ってますよね。川の流れは琵琶湖に流れるのですから。

琵琶湖市民清掃って言いますが、自宅周辺などを清掃する地域清掃ですよね。

家の前を清掃することは、琵琶湖につながります。

家の前を清掃しても琵琶湖につながらないと思いますけど。私の地域は、琵琶湖から遠いです。そもそも、琵琶湖市民清掃の事業については、当サイトで、証拠資料もつけて、問題がある事業だと指摘させていただきました。市民らが裁判も起こしています。市民が疑問を投げかけているそんな状況の中で、なぜ、わざわざ積極的支援と要望したのかですか? どこからか、積極的支援してほしいと要望があったのですか?

琵琶湖市民清掃は、毎年、継続している事業ですよね。琵琶湖をきれいにしたいと誰もが思っていると思います。

地域清掃と琵琶湖を美しくするというのは、また別の話では。

そんなことないですよ。琵琶湖市民清掃をしなかったら、どんどん琵琶湖がきたなくなりますよ。

琵琶湖市民清掃をしなかったら、どんどん琵琶湖が汚くなるんですか?

汚くなる恐れがあると思います。

それを実証したものが何かあるんですか? 琵琶湖市民清掃イコール=琵琶湖がきれいになるということではないと思います。琵琶湖をきれいにすることと、地域清掃は別ではないですか。現に県のホームページの琵琶湖の状況を見ても、変わってないと思いますが…。

年1回の地域清掃をしなかったら、琵琶湖が汚くなるという意味がわからない。

ほっといたらどうなるんですか?

琵琶湖をきれいにしたかったら、別に予算をつけて、専門の研究者と業者に依頼したほうがいいんじゃないですか?

そんなことを言って、切り離したものじゃないでしょう。琵琶湖に面しているだから。琵琶湖をきれいにしたいというのは、みんな思っていますよね。

琵琶湖は好きですよ。琵琶湖をきれいにしたいとは、それは誰もが思っていますわ。でも、それは理念です。問題はですね、その琵琶湖を利用して、補助金を受け取り、無茶苦茶な使い方をしていたり、廃棄物処理法違反があったのではないかということです。

教えてもらいたいんだけど、廃棄物処理法違反とはどういうことを言っているのか?

わかりやすく南部の例で例えますと、(処分場ではなく)仮置き場というところにごみを集めて処分させていました。

いつぐらい?

平成27年度まではそうでした。平成28年度は、泥を仮置き場に搬入させてました。

平成27年度まで、廃棄物処理法違反の恐れがあったということ?

まぁそうでしょうね。ご存知ないんですか?

知らん、知らん。

そうですか。大津WEB新報で、それについては証拠をつけて126本の記事を書いてますので、見て精査してください。今度、持って行きますわ。裁判が起きていることも知らないのですか?

知らない。

それは、湖誠会の情報収集不足じゃないですか?

新聞報道もされているのに、知らんじゃないだろうよ。

そんな偉そうなことを言われるのは…。こんなことを言ってくるのは、今までで、あなた1人だけだ。

琵琶湖市民清掃の事業について問題だと言っているのは、私1人だけということですか?

そう。今まで言ってきた人はいない。

何かの事業の問題を見つけたり不満があったら、全部、津田議員へ電話しなければならないことじゃないですよね?

それはない。

裁判は、私がやっているわけではないので、私1人が言っているわけじゃないと思いますが。まぁ、いいでしょう。そう受け止めておきます。では、ごみをほかすダンプの人的支援ということでいいんですよね?

いやいやそれだけでなく、ごみが出たときに、現場を見てまわる人もいるだろう。そういうことも含んでいる。

わかりました。ありがとうございました。


~取材を終えて~

津田市議より時々、( ゚Д゚)発言がいくつかあったが、全体的に「説明する」という姿勢が感じられた。全体的なやりとりとして、同じ堅田出身の佐野高典県議の電話応対より、よかった。以前、佐野県議に電話して、役員をしている「琵琶湖市民清掃」の事業についていくつか質問をしたことがある。廃棄物処理法違反について触れた途端、一方的に電話を切られた。議員として説明なし、マナーなしだった。

参照記事:https://watchdog-journalism.com/biwalake14

他の会派は、どうかわからないが、湖誠会の要望書は、関係団体などから来た要望を、そのまま掲載しているように感じる。大津市全体の財政上のことを考慮し、必要かどうかを精査してから出した要望書といえるかどうか疑わしい。津田市議が「知らない」と言っていた、琵琶湖市民清掃の裁判関連の情報については、市議会事務局へ、「津田議員がご存知ないようなので、議員の机の上に用意しておいてください」と依頼した。

問題が顕在化しているのに、市政に関する情報収集と自ら調査するということに熱心でない市議らには、問題の核心が伝わらない。さまざまな問題を見聞したり、抱えている市民の方々は、例えば、湖誠会ホームページの事務局(メール、電話、FAX)まで、市民の声をどんどんお伝えください。大津市議会には、「知らない」議員が多いようです。それが大津市の一番の問題かも。


http://www.otsu-koseikai.jp/