ウオッチドッグ記者の自宅ポストに昨年12月、湖誠会(自民党)の青山三四郎市議の議会報告のチラシ(B4判)が投函されていた。地域一帯に配布されているようだ。不思議なことに、このチラシには、湖誠会(自民党)の文字が書かれていない。大津市役所や議会では、「最大会派」をアピールしているのに、市民向けのチラシでは、湖誠会に触れず。これでは、無所属を装っているようなものだ。毎回、この地域に配布されているならともなく、市民センターの意見交換会直後のこの時期に「なぜ?」と思った。

チラシには、2017年度から2018年度まで、青山市議が大津市議会の通常会議で質問したのであろう項目が、ずらずらと細かく書いてあった。ウオッチドッグ記者が目を止めたのは、「自治会加入促進条例」の文字。「市民が自治会へ加入することを促進する条例」だって( ゚Д゚)

それだけでなく、「地域横断的組織」や「地域運営組織」、「行政と自治会組織のあり方」、「自治会に加入しやすい仕組みづくりについて」、「自治会の法的な位置づけがないままの行政との関係性」など、まちづくり協議会への伏線となる言葉や、自治会の説明で好まれる言葉がずらりと並んでいる。

そもそも自治会は任意加入であり、強制されるものではない。だが、「自治会加入促進条例」をわざわざ作って、大津市民を強制加入させるつもりなのかと疑問に思ったので、チラシに書いている青山市議の連絡所まで、12月18日に電話で問い合わせた。

ウオッチドッグの大井です。議員が配布されたチラシがうちのポストに入ってまして。その中の政策関係で「自治会加入促進条例について」というものが書いてあったのですが。初めて聞く言葉なんですけど、この条例は何ですか?

自治会自体が、任意団体で、入っても入らなくても、どちらでもいいという状況で、加入率が6割ぐらいになってきてます。それだと情報が伝わらないので。自治会に入らないと情報が入って来ませんよね。

今の時代、ネットとか、いろいろ情報を目にする機会があると思いますが。議員は、自治会に加入したら、情報が入ってくるという認識ですか?

自治会に入っている人は、回覧板で周ってきたり…。皆さんに入れって言っているんじゃないです。そういう組織があって、いつかそういう方向にいったほうがいいと思って…。

皆さんに入れと言っているんじゃないとしつつ、条例を作りたいということはどういうこっちゃ。

(過去に)広報課から聞いた話では、(未加入でも)5世帯以上集まったら、直接、送ってくれると言ってましたが。(※後で、過去に入手した資料を確認すると、未加入者でも、3部以上集まったら、代表者に送ってくれる仕組みになっている)。昔と時代が変わったんですよ。若い人たちは、共働きで大変なんです。やりたくもないのに、強制的に自治会の活動までさせることはないでしょう。それより、負担を軽くしてあげて、情報をどう伝えるかを新たに考えていくほうが大事じゃないですか?

5世帯と言わず、直接、聞きにいったらもらえるけどね。それもそうですが、私の自治会では、高齢者が多くなってきてね。入っていないと情報がなかなか届かない。

だから、自治会に入らなくても、広報物は郵送できる仕組みになっているんです。(※こういう仕組みを知らないようなので、話がかみ合わない)

青山議員は、南郷学区自治連合会の役員もして、自治会長もしていると説明をしていた。自治会に入っていても、ウオッチドッグ記者の地元のように、連合会長が情報を自治会へ伝えなかったケースを話すと、南郷学区は「伝えている」と断言していた。その後、「谷(大津市自治連合会長)さんへ言ったのか?」と聞かれたので、「谷会長からお電話をいただきたいと(事務局へ)依頼しても、来ないんですよ」(参照記事:谷会長は沈黙のまま/署名拒否を要請した市自治連/ウオッチ大津№55」)と伝えると、「(谷会長へ)言っておく。言っておく」と約束した。

青山議員のチラシで、違和感を覚えたのは、市民センター統廃合問題についての「市長答弁」をまるまる掲載していたことだ。行政の監視を担う市議会議員が、まるで、市長の代弁をしているかのような文面だった。そして、急いで作成し配布したのか、誤字もあった。例えば、「よりよい案をまとめいいく」(正しくは「まとめていく」)。

大津市は5年間も、各学区で市民センター統廃合問題の説明会を開かなかった。にもかかわらず、市民代表の議員のチラシには、市政に対する批判的な言葉は、見当たらなかった。

「自治会加入促進」については、過去にも同じような一般質問が、清水ひとみ市議(公明党)から出ていた。「自治会加入促進」について清水市議が市議会で言及したタイミングは、伊香立学区自治連合会の問題が表面化した時だった。伊香立学区自治連の幹部と、大津市の幹部とのコンパニオン接待が新聞で報道され、越直美市長が「自治連との懇親会を廃止する」と記者会見で話した直後だった。大津WEB新報は、その清水市議の質問について批判的に報道していた。

青山議員の「自治会加入促進条例」の一般質問も、同じように、自治連合会の問題が起きたタイミングだった。大津市自治連合会長から、越市長が「個別に学区の反対署名を受け取らないように」と要請されたということが報道された直後、2018年2月の議会で出た質問である。

大津市議会では、自治連合会の評判が下がるような出来事が報道されると、決まってその直後に「自治会加入促進」を言い出す議員が現れる。大津市政と、自治会(自治連合会)を擁護しようとするパターンが繰り返されている。

↓「湖誠会」青山三四郎市議が地域へ配布していた「議会報告」の一部

2018年大津市議会・2月通常会議/青山三四郎議員

↓2017年3月15日付大津WEB新報の記事
https://otsu-shinpou.info/web/?p=12590