国会議員の口座へ、月額100万円の「文書通信交通滞在費」が毎月振り込まれる。国会議員1人当たり年間1200万円。歳費と手当の交付事務を取り扱う衆議院事務局は、「文書通信交通滞在費」は、何に使用しているのですか?」というウオッチドッグの問いに対して、あらかじめ申し合わせしているように「条文通り」という答えを繰り返している。

ウオッチドッグは、数人の職員に問い合わせしたが、「何に使用しているのか?」という質問に対して一様に「条文通り」という同じ回答だった。さらなる質問を重ねると職員が戸惑う様子がみられた。「国会議員が、文書通信交通滞在費を使って、パチンコやスナック通いをしてもわからないのでは?」と質問すると、「はい、わかりません」と答えた。

国会議員は毎月支給される「文書通信交通滞在費」について、内訳・明細を報告する義務を追っていない。「渡切り(わたしきり)」と呼ばれる形で、後日精算の必要はなく、返納または追給も行なわれない。つまり、100万円を超えた場合でも、それ以上は請求できないし、100万円を下回った場合でも、返還する必要はない。

回答の根拠としている「条文」には、「公の書類を発送し公の性質を有する通信をなす等」としか書かれていない。何が認められ、何が認められないという細かい規定は定められていない。そのため、100万円がどう使われているのかは、各国会議員に確認するしかない。国会議員自らが「文書通信交通滞在費」を積極的に公開している例は少ない。このように、性善説に立ち、国会議員であれば、想定される正しい使い方をしているだろうという考えを前提とした制度と言える。

果たして、公の書類を発送するだけで月額100万円もかかるのだろうか? 通信費もかけ放題プランなら価格が抑えられるはずだが…。郵便物は、インターネットの普及や各種書類のWeb化により、郵便物数が大幅に減少しているという推移データを日本郵便が出しているが、国会議員だけは、どこか別の世界に住んでいるだろうか。

↓「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」より

↓郵便事業の現状について(日本郵便)/郵便物数の状況