明治のジャーナリスト宮武外骨が、日露戦争の始まった1ヵ月後、新聞検閲官をからかうようなイタズラ記事を書いたことを、宮武外骨「滑稽新聞」№36で紹介した。今回は、この記事に続く解読記事を紹介しよう。

「〇」「○○」「○○○」などの伏せ字を外して、残った文字だけを読んでみると・・・。

●秘密外の〇〇 (〇〇論〇〇記)

今の軍事当局者はつまらぬ事までも秘密秘密と云うて新聞に書かさぬことにして居るから新聞屋は聴いたことを載せされえずして丸々づくしの記事なども多い。
是はつまり当局者の尻の穴の狭い話で度胸が無さすぎる様だ。
我輩が思うには軍は元来野蛮なことであるからその軍備を秘密にして敵の不意をうつのもあながち咎むべき事ではないがそれよりも門戸開放の露骨主義でおれは斯く斯くの手段で大きにうぬらを叩き潰すつもりだサーコイと正々堂々と進軍する方が男らしい様だ。
軍備を秘密にして敵の不意を打つのはチトチト卑怯じゃないか。
こんな論説めいた丸丸入りの記事を載せると新聞検閲官の俗吏どもはドンナ記事を書いてそれを消したのであるかと腐れ目を丸くしたり腐れ頭をひねくり廻して無理附会の読方などをするのであろう。
けれども丸丸には最初から別に何のあて字も無いのだ。只、本字ばかりを拾うて読めば誰でも直ぐわかる理屈だアハ`