鹿児島県医師会が6月27日、記者会見を開いた。鹿児島県警の警察官による内部告発の発端は、県警と医師会が結託して、強制性交事件を隠蔽したためだとする報道に対して、反論するためだという。医師会は会見の模様をYouTubeで公開した。会見では、医師会側が「強制性交はなかった。合意があった」とする証拠として、当事者間のメールやりとりや通話記録などの資料を記者らに配布した。記者からは「根拠がわからない」と厳しい質問が飛んだ。医師会の副会長は、「(医師会の調査が)素人裁判でしなければならなかった」、「可能性を言っているだけ」などと述べた。一方で「強制性交はなかった」と強く主張する場面もみられた。この会見場には、両者の間で「合意があった」と公言していた、医師会の会長(当時)の池田琢哉氏は姿を見せなかった。池田氏は6月15日に、会長職から退いたばかり。

↓2024年6月27日・鹿児島県医師会の記者会見

鹿児島県医師会 記者会見(令和6年6月27日) – YouTube

会見開始58分頃から下記のような質疑応答があった。

鹿児島放送(KKB)記者

これらの資料だけで、オフィシャルな医師会が「強制性交がなかった」と判断をくだすことがわからない。「合意」とした根拠がクリアに入ってこないです。

副会長

メールであったり、電話をすごくしていた事実だったりが、(被害)女性の主張とはちょっと違う。それでも控えめに、そうではない男性の主張もありますよと。絶対、僕はそう思っていましたけど、「強制性交ではない可能性もありますよ」という発言だったと思います。2月から始まった(医師会の)調査委員会でいっぱい悩んで、最終的に7月に結論を出しました。

KKB記者

可能性ということであれば理解できます。揚げ足取りにしたくないが(会見の)冒頭、「なぜ、医師会が強制性交ではなかったと判断したのか」ということをお伝えすると聞いています。強制性交は刑法犯だから司法の判断によって行為の認定がなされます。男女の争いの中で、オフィシャルな医師会という団体が、「強制性交でない」と判断したというのがよくわからないです。

副会長

(医師会の元男性職員に対して)何らかの(医師会内部の)処分を「素人裁判」でしなければならなかった経過があります。

KKB記者

それならなおさら、検察が今、不起訴処分にしていますが、理由としては「嫌疑不十分」ということです。普通「合意があった」のなら「嫌疑なし」になると思います。その不起訴が不服として女性は検察審査会に審査請求をしている段階です。そんな中で、医師会が「強制性交ではなかった」と言い切る根拠はよくわかりません。

副会長

私は「強制性交がなかった」と思っていますが、司法が判断すべきことだと思っています。

KKB記者

弁護士の先生からもご意見いただければ。

医師会の弁護士

(医師会の)調査委員会は強制性交があったかどうかというよりは、こういう事件が起きたら彼(元職員)を処分しなければいけませんよね。処分をするために事実を調べる必要がありました。処分のための事実認定です。(医師会の調査委員会には)弁護士が3人入っていました。どういうことがあったのか、メールや電話などが出てきたり、他の方々の話を聞いたり、具体的に突き合わせました。我々は裁こうということは何もやっていません。強制性交でなく、仮に合意であったとしても(コロナ療養施設での性行為は)やっちゃいけないということで処分はしています。

朝日新聞記者

捜査機関または司法機関が判断する前に、医師会の調査委員会が2022年9月に「合意があった」と公表する(池田元会長による会見)必要があったのですか? この場に前会長はいないですが、医師会として適切だったのですか?

医師会の弁護士

今、前会長がいないから(笑)

参照:↓2022年10月24日付・ハンター報道より

鹿児島県医師会、職員わいせつ事件で「人権無視」の記者会見|県への報告に食い違い|「合意があった」を既成事実化

↓2024年4月4日付・南日本新聞/鹿児島県医師会の池田琢哉会長が「勇退」の記事

https://373news.com/_news/storyid/192822/

ウオッチドッグ記者
★コメント

発端となった事件で「合意説」を主張していた池田琢哉氏が今年6月15日に鹿児島県医師会の会長を辞めたようだけど、その後に医師会が記者会見を開くって、ずるくない?

この会見を動画で視聴して、県医師会が「非常識で変な組織」とますます確信した。24時間体制のコロナ療養施設にいて同じ仕事に従事しているのなら、2人の間で、メールや電話で何らかのやりとりあっても不思議じゃないと思った。

ていうか、「これが合意の証拠」と言わんばかりに、2人の通話記録をパワーポイントで示していたけど、その中には、わずか数秒や数分の日もあった。鹿児島放送(KKB)の記者も質問していたが、こんなので2人の間に「合意があった」とする県医師会の主張はよくわからない。会見場にいた記者たちは、いい質問していたというのが感想。