市民センター統廃合問題をめぐる夏の意見交換会で、大津市が参加者の住民に対して、記名式でアンケートを実施していたことがわかった。参加者からは「統廃合に反対する意見が表明しづらかった」など、批判が出ている。また、自由記入欄に参加者が書いたさまざまなコメントを、市は一切公表せず、組織内部だけで利用していることも明らかになった。市は何のためにアンケートを行ったのか、公正性に疑問の声が上がっている。所管の市民センター改革推進室の担当者は「配慮が足らなかった」とし、10月以降は無記名式に切り替えた。

アンケートは意見交換会の会場で、職員が用紙(A4判、1ページ)を配布し、参加者が記入した後に、回収する形で実施されている。今年7月と8月の意見交換会では、回答用紙の一番上に、氏名と居住地の学区名の記入欄が設けられていた。しかし、記入が任意であるとは書かれていなかった。設問の中には、「見直しが必要/現行のままでよい」など、賛否を問う内容も含まれていた。

ウオッチドッグが情報公開請求で入手した、アンケート結果の集約表によると、自由記入欄には「なぜ記名を求めるのか。回答率が下がらないか」「アンケートですし氏名記入はしません」「こうしたアンケート手法はあるべきでない」などの意見が寄せられた。

一方、市はアンケートの結果の一部をホームページ上に掲載した。しかし、自由記入欄に参加者が書いた意見や提言は、職員が作成した集約表には書き写されているが、市民部で見ただけで、一般には公表していない。そもそもアンケート用紙には、利用目的が書かれていない。

参加した市民に対して、アンケートを実施する際には氏名を書かせる形だったことや、回答結果を集約した後、自由記入欄のコメントを公表しなかったことから、アンケート全体への不信感が広がっている。市民センター改革推進室の担当者は、アンケートの目的について「時間が限られているので、その場で話せない方の意見を知るため」としながら、「記名式にした意図はない。記名に批判的な意見もあったので、配慮が足りなかった。その後の36学区の意見交換会では、無記名のアンケートに変えた。意見を公表しなかったのは、ホームページの掲載の都合上だ」と話している。