大津市の市民センター統廃合問題で、市民に対して「維持費が高い」と強調してきたが、他の中核都市と比較すると、1センター当たりの維持費は低く抑えられているデータが存在することがわかった。データによると、大津市の市民センターは設置数は多い方だが、運営する人件費や維持管理費は、中核都市の中では真ん中あたりに位置している。こうしたコストを抑え、やりくりしながら運営していると言える。

ところが、大津市は市民には「コストが高い」と繰り返し説明している。既に、建物の老朽化に関する説明も不適切・不公正だったことが明らかになっており、この問題をめぐっては、大津市が恣意的にデータを利用した印象操作を繰り返している実態が浮き彫りになった。

市民センターの維持費に関するデータは、2016年度の「大津市市民センター機能等の在り方検討業務 報告書」が扱っている。市は公共施設対策特別委員会で、この資料を配付している。この中で、県庁所在地を含む全国30の中核都市との比較で、総人口、市民センター数、1支所当たりの職員数、人件費、維持管理費などについて調査し、1市民センター当たりのコストも算出している。

図表にまとめると、次のようになる。全体として、こうしたデータの土台となるセンターの数をみても、最多の79(富山市)から、最少の3(那覇市)まで、大きな開きがある。人件費は、最も多い倉敷市は約34億だが、最も少ない倉敷市は約7140万円と、約48倍の開きがある。こうしたことから、単純な比較は難しい。地理的な条件や、市民センターの性格など、データには出てこない、個別の事情を考慮しなければ、説明がつかない。

それでも、あえて比較すると、27都市の中で、大津市は人件費や維持管理費がだいたい平均に位置しており、1人当たりに換算すると、平均値をやや上回るところにある。人口に比べセンターの数が多いため、「1センター当たりのコスト」は、平均値の約半分で、27都市の中では、小さい方から7番目に位置している。


こうしたデータから、「報告書」は次のように述べている。

「大津市は施設数は多いものの、1市民センターあたりコストは比較的廉価に抑えられている。これは、後述するが、人員配置において、正規職員を減らし、臨時、嘱託、再任用職員を活用し、人件費負担を抑えていることが影響していると考えられる」

ところが、今年10月と11月に行われた36学区の意見交換会では、市側の説明として、市民センターの維持費に約12億円かかり、8割以上が人件費であることを踏まえ、「無駄な支出」を強調していた。11月の意見交換会では、7月と8月に行われた夏の意見交換会の時にあった、「近隣中核市の支所設置状況」と「近隣中核市の支所運営コスト」の項目が削除されていた。

調査対象の27都市は以下の通り。

旭川市、函館市、青森市、秋田市、郡山市、前橋市、宇都宮市、川越市、船橋市、柏市、横須賀市、長野市、豊橋市、岡崎市、岐阜市、富山市、金沢市、東大阪市、和歌山市、尼崎市、倉敷市、下関市、高松市、松山市、大分市、
那覇市

※報告書は、2017年度9月28日の公共施設対策特別委員会で配布された資料の一部。

 

↓2018年10月~11月の36学区の意見交換会で、参加した市民に配布した資料

↓2018年の夏の意見交換会で参加した市民に配布された資料/赤枠部分が、10月~11月の36学区の意見交換会で削除された。