■毎日新聞などの報道
毎日新聞の日野行介記者が2003年3月に、「しが自治会オンブズパーソン」宛ての寄稿文に大津市と大津市自治連合会の温泉旅行について、感想を寄せていた。2015年5月27日付の大津WEB新報は、日野行介記者の寄稿文を、本人のメッセージとともに紹介している。日野行介記者は、大津支局、福井支局敦賀駐在、大阪社会部、東京社会部、特別報道グループ記者を経て、水戸支局次長。福島県民健康管理調査の「秘密会」問題や復興庁参事官による「暴言ツイッター」等多くの特報に関わる。原発事故による放射能汚染問題を追及し続け、2018年11月16日に「除染と国家: 21世紀最悪の公共事業 (集英社新書)」を発刊した。
「自らの懐をほとんど痛めず何度も「物見遊山」するのはさぞ楽しかっただろう」
この「市自治連合会」に対して税金が毎年3 2 6万円支払われ、 「研修視察」 名目で温泉旅行が行われてきた。それだけではない。自治体はごみや教育などの問題について住民の意見を聞くため、様々な諮問機関を設置するが、大津市の場合は必ずそこに数人の「学区自治連合会長」が名を連ねる。こうした諮問機関の一つ「ごみ減量と資源再利用推進会議」は2年に1回、研修視察の名目で1泊3万円もの高級旅館に宿泊していた。市の職員も必ず「職務」として随行する。自らの懐をほとんど痛めず何度も「物見遊山」するのはさぞ楽しかっただろう。
日野記者は当時、問題となっていた自治連合会への報償金を巡る裁判で、原告側と市と自治連側のそれぞれの主張を取り上げ、「自治会の在り方」を追及していた。2001年2月22日の記事はこう報じている。当時は市から自治連合会へ支出している報償金から、視察旅行費が充てられていた。
オンブズマン加藤英子さんの主張「研修という名ばかりの温泉旅行」
山本俊一市自治連合会長(当時)「観光に見えるかもしれないが、自治の先進地域に関する勉強は必要」
大津市住民自治課(当時)「報償金から研修視察の旅費が出ているかどうか分からないが、そうであっても問題ない。研修を通じて自治会活動に関する見聞を広めることは必要」
↓2001年2月22日の毎日新聞の記事(抜粋)
市自治連合会に支出された報償金から、研修という名の視察旅行に使われている。宿泊施設は温泉旅館で、行き先は観光地。市自治協働課の職員が職務として公費で随行していることに対して、原告の加藤英子さんは、研修という名ばかりの温泉旅行と怒りをあらわにしている。
一方、市自治連合会の山本俊一会長は「内容は研修視察。観光に見えるかもしれないが、自治の先進地域に関する勉強は必要」と反論する。市の住民自治課も「自治連合会に支出した報償金から研修視察の旅費が出ているかどうかは分からないが、そうであっても問題ない。研修を通じて自治会活動に関する見聞を広めることは必要」という。
滋賀報知新聞の石川政実記者(当時)は、2001年3月8日に「大半が温泉地宿泊の視察研修/大津市の自治会報償金裁判」という見出しで記事を掲載している。1996年から2000年までの研修先とする温泉地を取り上げ、「宿泊地の大半が温泉地であることにいささか首をひねらざるえない」と記事を締めくくっている。
次のページでは、迷惑料(地区環境整備事業補助金)の温泉旅行の記事を振り返る。