大津市は約1,200人の市職員の自宅待機を経て、5月7日に開庁した途端、これまで機能していなかった新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開いた。会議資料の中身はというと、これまでの経緯を記した資料が中心で、佐藤健司市長ら市幹部らが市民に対して、どのような対策や支援を構想しているのか、具体的な構想案が全くみえなかった。コロナ関連の「3月補正予算」資料の一般会計8事業のうち、市が単独予算で取り組むものは、1事業(34万円)だけだった。
計11枚のスライド資料のうち、7枚は「現行の取り組み」についての資料で、これまでの経緯をなぞった形。3月補正予算に関する資料もあるが、コロナ関連の事業を寄せ集めただけに過ぎない。どこの課の事業で、今後、どのように進める予定なのか、記載されていない。学校が休業中、子どもたちの学習の遅れを心配している保護者たちが多い中、今後に向けての具体的な対策が示されていない。
「3月補正予算」のスライドは、各課のコロナ関連を事業を、寄せ集めたもの。9事業だけしか掲載されていない。市議会の予算説明の資料で確認すると、特別会計の給食事業を除いた一般会計の8事業のうち、大津市が単独予算で取り組むものは、「子どもの居場所づくり事業の利用増」に支出した、たった1事業。それも金額は34万円。7事業は、国の予算事業に、市がぶら下がっているだけだ。
もうひとつの資料「概要」の最後には、対策本部の職員らへ伝えた佐藤市長の「指示」が記載されていた。
「市として何ができるのか、何をすべきなのか、各部局、きめ細やかな対応を考え行動すること」
また、「概要」という別の会議資料によると、4月25日から5月6日までの本庁舎の閉鎖期間中、市が大阪の民間事業者へ業務委託している「大津市コールセンター」へ、大津市民からの問い合わせ電話が殺到して、普段より2倍に増加したという。特別定額給付金に関する問い合わせが多く、約200件あったと書かれている。これだけでも、市民らの切迫感が伝わるのに、その後に続く言葉は、「その他各部局について、例年と異なる状況もあったが、特段報告すべき事項なし」と記されていた。自宅待機中に、各部局で情報収集していなかっただけだと考えられる。
コロナ関係の担当課は、本庁舎の閉鎖前に、担当者へ繋がる直通の電話を開設しなかった。閉鎖中の問い合わせ先について、市ホームページに「お知らせ」を出していなかった。自治協働課が、36支所の業務についてお知らせしただけだった。
閉鎖直前に1つの支所に「本庁舎が閉鎖中に、コロナ関係の問い合わせは、どこになるんですか?」と聞くと、「大津市コールセンターは普段通り、やっているからそこではないか。そこから、担当課へ連絡がいくのではないか」という答えだった。支所においても、閉鎖中の本庁舎への問い合わせ体制は不透明なままだった。
↓対策本部会議で配付されたスライドの資料
自治連合会関係の迷惑料:年5億円(補助金と直接事業)
自治連と自治会関係の報償金:1億円
大津市自治連合会の運営補助金:300万円
「琵琶湖を美しくする運動実践本部(大津市自治連会長が本部長)」:560万円
「わがまちづくり市民運動推進会議の運営補助金(大津市自治連会長が会長)」:560万円
大津市民が、本当に困っているときは、ケチ極まりなし。これで、よしとする、大津市議会議員らの市政監視能力ゼロ。呆れるわ。
↓対策本部会議で配付された「概要」 (気になった箇所を赤枠で囲んだ。最後の赤枠は、市長の「指示」部分)
↓対策本部の資料だけでは、実態がよくわからなかったので、市議会ホームページから、「令和元年度・3月補正」の予算説明資料を取りこんだ。