大津市の越直美市長らが自治会から飲食代などを負担してもらった問題で、返金額がわかる公文書を「非公開」とした大津市の判断を、大津市情報公開・個人情報保護審査会は妥当と判断した。しかし、審査会が出した答申では、新聞報道にあった公費での視察旅行代の返金の公文書に関することには、一切、触れられていなかった。審査されるべき項目が抜け落ちている。審査会の甘い検証の実態が、答申から浮きぼりになった。

大津市情報公開・個人情報保護審査会は、「平成28年11月に報道された自治会負担分(50万円)を市職員が返金したとする、返金に関する資料の一切」の公文書は、「自治協働課が伊香立学区自治連合会に依頼したことにより、同学区自治連合会が自己の保有する資料に基づいて作成した自治連合会の会合の一覧である」としている。

しかし、中日新聞2016年11月12日付朝刊の記事によると、「大津市職員が、市から補助金を受けている自治会の一部負担で、自治会の視察旅行に同行したり、懇談会で飲食したりしていたことが、市への取材でわかった」とある。当時の報道では、旅行懇談会について市が精査し、自治会に負担してもらっていた金額は55万円だったとしている。

つまり、会合だけでなく、市職員の視察旅行費も、自治会から負担してもらっていたことになる。この視察旅行費は、地区環境整備事業補助金から支出されている。大津市の補助金で伊香立学区自治連合会が視察旅行に行っていることを大津WEB新報が、2016年3月2日付で報じている。

視察旅行についても、市が精査した文書はあったはずだが、答申結果には、視察旅行の文書については、一言も触れられていない。いかようにも言い逃れがしやすい会合の返金と違い、市の補助金を使った旅行の返金に関する公文書であれば、任意団体から資料を提出してもらわないとわからないとは、言い逃れはできない。補助金については、全て実績報告書の提出が、義務付けられているうえ、大津市補助金交付規則の第11条では、「市長は、必要があると認めるときは、補助事業者から補助事業等の遂行の状況について報告を求め、又は調査をすることができる」とある。市長が調査権限を持っている。

大津市情報公開・個人情報保護審査会は、大津市が主張する「公文書は、会合の一覧で、市への報告の義務はない」という主張だけをそのまま受け入れた形で、返金資料の「非公開」は妥当だと判断したとみられる。

↓2016年3月2日付の大津WEB新報の記事

ビアパークに舟下りも/温泉宿1泊2日で5万円超/大津市が補助金を支出/伊香立自治連/環境整備事業№36

↓大津市情報公開・個人情報保護審査会の答申47号