大津市は、新型コロナウイルス感染症対応の国からの第2次地方創生臨時交付金20億円のうち、6.5億円を、売上減少率に応じた一律給付金として、小規模事業者などへ、期限を延長して充てようとしていることが、9月市議会の補正予算案でわかった。佐藤健司市長の意向に従ったもので、第1次分に続き、有力支持者層へのばらまき施策の色彩が濃いものになっている。

第1次の新型コロナ対応の地方創生臨時交付金は、小規模事業者などへ売上減少率に応じて30万円または20万円を給付金するとし、約9億円(そのうち、国の地方創生臨時交付金は7.5億円)を5月市議会の補正予算で計上していた。

5月市議会では、第1次の地方創生臨時交付金を使った給付事業の申請期限は、8月末までとしていた。しかし、9月市議会の補正予算案では、8月末までの期限を12月末までに延長した。さらに、第2次の地方創生臨時交付金6.5億円を、この事業に充てることにしている。

小規模事業者や個人事業者への給付金事業の総額(臨時交付金+市財源)は、第1次で9億円、第2次で6.5億円で合わせて、約16億円になる。そのうち、14億円は、国から入った地方創生臨時交付金からの支出で、残り2億円は、市財源からの支出となる。

内閣府がホームページに掲載している「地方創生臨時交付金の留意点」によると、企業への損失補填は不可となっている。それなのに、大津市は、売上減少率に応じた給付金事業を計画している。疑問をもったウオッチドッグは、5月に内閣地方創生推進事務局の職員に取材した。その際、「線引きが難しい部分です。青天井になってしまうので、一定の上限額を設ける場合は、認めるという形もしています。個別判断とさせていただいております」と話していた。その経緯をウオッチ大津№193で報道した。

その後、内閣府ホームページで、地方創生臨時交付金の各自治体の取り組みが「事業一覧」として閲覧できるようになった。大津市の申請書と添付書類のチェック形式の甘さも、他市との取り組みとの比較で浮き彫りになり、ウオッチ大津№214で報道した。

5月の取材時、大津市の商工労働政策課は、「見込みは3,000件から4,000件で、10億円の予算内で収まる」と説明していた。しかし、9月補正予算案では、件数を補正前の3,625件から、6,000件にして、期限の延長を決めた。10億円で収まるどころか、さらに、件数も金額も膨れ上がり、総額は16億円になる。まさに「青天井」となっている。12月末になると、再延長する可能性もある。コロナ対応で奮闘している医療現場の職員や、本当に困っている人たちへの支援、より細かな地域経済の活性化策よりも、手っ取り早い事業者への「給付金」支給で、支援策をしたとアピールしたい佐藤市長の姿勢が見え隠れする。

内閣府ホームページ「新型コロナウイルス感染症対応の地方創生臨時交付金」の第2次補正の実施計画で、代表的なチェック項目(例)として、共通するチェック要素3点を、あげている。「感染段階に応じた対策がとられているか」、「地域の自立性と共助を生かした取り組みか」、「デジタル技術を上手に活用しているか」をあげ、「実施計画を立案する際には、幅広い視点からの地域の取り組みを」と呼びかけている。

休業要請に対する補償の意味合いでもなく、民間企業への給付金として、新型コロナ対応の地方創生臨時交付金28億円(※大津市分は、第1次8億円、第2次20億円)のうち、半分の14億円を使い切る自治体は、全国の自治体の中でも異例だ。

第1次分と同様に、いずれ第2次分も、内閣府ホームページの「事業一覧」として、各自治体の「実施計画」が明らかになる。他自治体と、大津市政の取り組みを比較しながら、問題点がさらに明確になるだろう。

2020年9月市議会の補正予算案/商工費/地方創生臨時交付金6.5億円を、小規模事業者などへの給付事業として全額計上/5月補正予算の実施事業を延長で

↓内閣府地方創生推進事務局のホームページから

↓内閣府地方創生臨時交付金「活用事例集」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/rinjikoufukin/pdf/jireisyu_vol2-1.pdf
下記、参考として一部を抜き出した。