7月9日、久しぶりに訪問した大津市役所で、ウオッチドッグ記者は、相変わらずの佐藤健司市長の沈黙ぶりを知った。国から入る新型コロナウイルスのワクチン供給量の減少について、9日に記者クラブに説明しているが、11日時点で市ホームページに公表していないことがわかった。一方、記者クラブに所属する報道各社は、担当課からワクチン供給量の減少について説明を聞いているが、デジタル版で報道したのは、中日新聞の1社のみだった。ワクチン接種に関する政策を含め、佐藤健司市長の記者会見における発言は、4月以降、記録が公表されていない。行政と報道機関は、市民の知る権利に応えていない。
琵琶湖市民清掃の一連の調査報道について、ウオッチドッグ記者が書いた原稿が「月刊journalism」7月号（朝日新聞社発行）に掲載され、この日は、関係課に参考としてお知らせに行った。そこで、思わぬ光景を目にした。
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ウオッチドッグ記者が広報課の前の廊下まで行くと、何人かの記者が次々と記者クラブに入っていく姿を見た。「ひょっとして記者会見か？」と広報課の職員に確認したところ、記者会見ではないということだった。ワクチンの供給量について変更があったので、担当課が記者らに説明したという。
7月12日から、60歳代～64歳の方や基礎疾患のある方のワクチン接種予約が始まる。今後、ワクチンの供給量が変更になり、見込み量よりも減るということは、8月20日に予約受付が開始する50歳代、40歳代への接種にも影響が出かねない。9月1日から予定通り接種が実施できるのか、先行きは不透明だ。
供給量がいくら減って、どれぐらいの人数に影響が出るのかを、広報課の職員に尋ねたところ、「担当課から、記者クラブに説明しました」という一点張りで教えてくれなかった。「大津市のホームページで公表しないのか？」という問いには、「今後、どのような形で公表するか検討します」と話した。
ウオッチドッグ記者が2日後の7月11日、大津市ホームページをくまなく探したが、ワクチン供給量の変更に関する情報は、全く出ていなかった。そして、佐藤市長の記者会見録は、なんと4月でストップしたまま。やはり「沈黙市長」だった。
以前、広報課に確認したところ、「5月は記者会見を開かず、6月は開いた」と説明していた。しかし、7月11日時点で6月の会見録は出ていない。6月の佐藤市長の公務日程をチェックしたが、どこにも定例記者会見の形跡はない。実際にはいつ開催されたのか、佐藤市長が何を語ったのか、市民は知るすべがない。
ウオッチドッグ記者の自宅に届いた「大津市からのお知らせ」には、基礎疾患を有する人（16歳～64歳）は、7月12日（月）から予約受付開始で、接種開始日は7月14日以降。50歳代、40歳代の人は、8月20日（金）から予約受付開始で、接種開始日は9月1日以降と書かれている。
7月9日（記者クラブに供給量の減少を説明した日）に更新したと思われる大津市ホームページを確認すると、接種開始日の記載がなかった。書いているのは、予約開始日だけ。供給量の減少を受け、元々、書いてあった接種開始日を削除したのかどうかは不明。しかし、該当の市民らへ郵送したお知らせチラシには、接種開始日を書いているのに、市ホームページにその日付を掲載しないのは不可解である。そして、自宅に届いたチラシには記載していない「ワクチンの供給量や新型コロナウイルス感染拡大により、変更や取消しとなる場合があります」という文言が市ホームページに掲載してあった。
供給量の減少は、全国的に報道されている問題で、自治体の責任というより国の責任だと考えられる。それでも、経緯と今後の見通しは市が説明する必要がある。守山市は、7月8日に守山市ホームページで、全国の自治体で予約の中止や停止を行う事態が起きていることをあげ、守山市としてはどのような方向性で進めるのか、しっかり説明していた。
7月10日付の中日新聞によると、「大津市は九日、国からの新型コロナウイルスワクチンの供給量が減ったことを受け、七ー八月の集団接種の予約枠を、当初予定の一万八千人分から八千人分を減らし、一万人分とすると発表した」とある。こうした記者クラブに発表した情報を、市ホームページに公表しないのはなぜなのか、市長の説明責任が求められる。
7月11日に、各社のデジタル版の報道を確認したところ、7月9日に大津市から「供給量の減少」という市発表を聞いて報道したのは、中日新聞だけだった。他の新聞社のデジタル版は、どこも掲載していなかった。報道はしているが、中日新聞は、市発表のワクチンに関する記事を有料会員限定にしていた。
