大津市の越直美市長が、約1万5千人の住民の署名の受け取りを拒否したことを、12日の市議会・通常会議で謝罪したと13日に各紙が報道した。ウオッチドッグ記者は12日の午前中、市議会を傍聴していた。
県議会を傍聴したことはあるが、市議会は初めて。開会は平日なので、今までなかなか傍聴はできなかった。市議会事務局の旧知の職員に声をかけ、議場まで案内してもらった。
警備員に傍聴席まで案内してもらうと、議員らが座っている席の対面に向かって座っている市長や部長たちの姿がみえた。「どこかで見たような顔がずらり」と思いきや、「そうだ。5月10日の大津市自治連合会との大宴会だ」と思い出した。5月10日に琵琶湖ホテルで行われた市と自治連の大宴会では、市長や部長たちは、8000円の飲み放題の宴会コースを利害関係者と「アハハ」、「ウフフ」と浮かれながら堪能していた。市長や部長らは、市議会では、この時と同一人物とは思えないほど、神妙な面持ちだった。そのギャップに、こみ上げる笑いを抑えるのが精いっぱいだった。
傍聴席を見わたすと、傍聴している市民は10人にも満たない。議長から見て正面、傍聴席の真ん中の席に座っているのは、もしかして中央学区自治連合会長かと思った。横にこじんまりと座っているのは、青山学区自治連合会長だろう。よく見えないがたぶんそうだと思った。この学区自治連合会長らは、5月10日の大宴会では、議場で座っている市長や部長たちと一緒に、署名の話などせず、宴会を堪能していたのではないか。それが、1ヵ月後の今では、「署名拒否だ」、「いや見合わせだ」と反目しあっている。双方とも、自己保身では譲らない。
午前中の質疑では、越市長が謝罪する場面はなかった。越市長は、事前に用意した手元の紙を見ながら、抑揚のない調子で淡々と「大津市自治連合会から要請があった」という従来の回答を繰り返すだけだった。つまり、越市長が報道内容のように謝罪したのは、ようやく午後に入ってからだった。
ウオッチドッグ記者がいた午前中の質疑では、伴議員(一人会派の新風)の質問に、越市長は「大津市自治連合会から要請があった」と、従来と変わらぬ答え方だった。市民部長の答弁は、誠実さに欠ける投げやりな印象を受けた。ウオッチドッグ記者は、昼少し前に席を立った。午後から、迷惑料裁判を傍聴するためだ。
市役所で所用をすませ、12時10分頃、大津地方裁判所へ向かおうとした時、かつて「大津市の防災」について取材したことがある志成会の議員と、市役所内のコンビニ前でたまたま出くわした。議員は「市長の答弁だが、あれはないだろう」と呆れ顔で話していた。
今回の通常会議で、市民の関心が高い「市民センター統廃合関連」の問題について、質問した議員は、伴議員(一人会派の新風)、杉浦智子議員(共産党)、谷祐治議員(志成会)、藤井哲也議員(志成会)、武田平吾議員(無所属の会)だった。一方、最大会派の湖誠会(自民党)や、公明党、市民ネット21(民進党)の議員は、質問していなかったようだ(要旨をみる限り)。
帰途、ウオッチドッグ記者は、市議会の質疑をふりかえった。署名拒否だけでなく、伴議員が質問した「公共施設対策特別委員会の意見と中間報告に対する市の対応について」も驚く内容だった。伴議員は、「公共施設対策特別委員会で、議員らがまとめた『36支所に最低でも1人の市職員を配置したほうがよい』という意見を、大津市は全く考慮していない。市はどう考えているのか」と質問していた。
大津市は、6月15日号の広報おおつで「これからの市民センターについていっしょに考えませんか」と大々的に特集を組んでいた。しかし、「いっしょに」どころか、委員会で協議した議員の意見さえ受け付けなかった、大津市の結論ありきの態度が、市議会の質疑でも如実に現われていた。
6月12日の市議会の映像は、18日以降にアップされるという。大津市政の現状がわかるので、ぜひご覧ください。
http://www.kensakusystem.jp/otsu-vod/schedule/index.html
↓大津市議会の傍聴者に配布される資料/赤枠は、市民センター統廃合関連の問題を質疑した議員