ホテルを営業している一般財団法人「滋賀県青年会館」(理事長、元農水相の岩永峯一氏)へ滋賀県が支出している補助金の報告書に領収書が1枚もついていなかった問題で、3つの補助金のうち「青少年センター事業補助金」53万円の全額が、青年会館の事務長の人件費に充てられていたことが、情報公開請求の文書で分かった。こうした補助金の使途は極めて異例。しかし、補助金を支出している県子ども青少年局は、適正な支出だとの認識を示している。

青少年センター事業補助金の事業概要では、「青少年の健全育成を図るため、県下の青少年の指導及び助言を行い、21世紀を担う若者のリーダーを育てると同時に、最近衰退しつつある青年団の活性化に努める」となっている。しかし、同会館が県へ提出した報告書には、事務長が県内の青年団にどのような指導や助言を行ったのが、具体的な内容は書かれていない。

実績報告書によると、同会館の事務長に対する人件費は、年間約500万円。「給料」毎月約23万円のほか、ボーナスが年約93万円(給料4か月分)、「共済費」月6.1万円、「調整手当」月2.3万円、「通勤手当」月2.3万円なども支払われている。共済費や調整手当の項目が、具体的に何を示すのかは不明。通勤手当についても、利用交通手段などが全く示されていない。

ウオッチドッグの取材に応じた同会館の事務長は、「いつ、どこの地域の青少年の指導を行ったのか、具体的な内容を教えてほしい」との質問に対し、「言わなければならない理由はない」と、具体的な説明を拒んだ。

補助金を支出している県子ども青少年局の担当者は、「県の補完事業を担う団体役員の給与費の一部を補助金で出すことはある」と話している。しかし、県に提出された報告書では、補助金で事務長の給与費を支出することの妥当性を示す資料は添付されていない。具体性が欠ける報告書を基に、県は53万円の事務長の給与費を補助金として支出している。

↓2017年度の滋賀県青年会館の「青少年センター事業補助金」/滋賀県からの補助金53万円は、事務長の給与費の一部へ