滋賀県漁業協同組合連合会が運営する南郷水産センター(大津市田上黒津)に対して、滋賀県が土地と建物の使用料(5,000万円/年相当)を徴収せず、50年以上無償で提供し続けていたことが、ウオッチドッグの調査でわかった。県水産課は、ウオッチドッグの取材に対して「2019年の減免基準の見直しで、初めて、南郷水産センターの固定資産の土地評価を行った。本来なら、約5,000万円の使用料ということがわかった」と説明している。50年以上、県有地や建物の固定資産の評価を行っておらず、県の杜撰なチェック体制と特定の団体だけ特別扱いする不自然な蜜月ぶりが浮き彫りとなった。
南郷水産センターは、一般市民から入場料400円、駐車場代500円を徴収し、施設内では、金魚つかみ取り20分間500円や各種物販事業を行うなど、収益事業を行っている。県漁業協同組合連合会の2015年度の南郷水産センターの事業収益は9,600万円あるが、県水産課は、「魚食文化の啓発普及事業のために使用するもの」とし、行政財産の用途と目的を妨げず、財産管理上、支障がないという理由で、全額免除している。
「滋賀県市民オンブズマン」(浅井秀明代表)が、一般財団法人の滋賀県青年会館(理事長は、岩永峯一元農水相)へ、県が貸し出ししている県有地(1,300万円相当)を無償提供していることに対して、2017年に監査請求を起こした。これを発端に、県は従来の減免率の基準を見直し、県青年会館と県漁業共同組合連合会への県有地などの貸し出し「100%減免」を見直し、2019年度から「95%減免」へ変更するとした。
県漁業協同組合の南郷水産センターは、1966年に設立し、71,490㎡の県有地と327㎡の県の建物(ふ化場、調理室、作業員詰所、多目的施設、野外調理室、便所など)を利用するため、行政財産使用許可書を毎年、申請している。県は、1966年から2018年までの50年以上も、利益事業を行っている漁連へ土地と建物を無償で貸し出しをするという、異例の扱いを続けていた。2019年度から、95%の減免率に変更になったことに対し、滋賀県市民オンブズマンらは、「県の見直しは、甘すぎる」と批判を強めている。
2016年3月に、県漁業協同組合連合会の専務理事として、県へ行政財産使用許可書を申請したのは、県農政水産部の元次長の窪田雄二氏だった。5000万円相当の県有地を無償にする許可を長年与えた農政水産部で次長を務めていた人物が、2013年に天下りしていた。
↓南郷水産センターの駐車場代と入場料、魚つかみ取り料金など
↓2013年4月・滋賀県職員の再就職先名簿